第24章 町行かば ※R-15
そのまま
仕立て屋を目指す馬車に
二人で揺られていると
外の景色を見れる窓の
カーテンを杏寿郎が閉めてしまって
外の景色が見えないと
あげはが不満そうにしていたので
「あげは。
君は……開けたままのが良かったか?」
そう言いながら
すっと私の頬へ手を添えて来て
撫でると指先を唇に当てて来て
私の唇を指の腹でそっと押した
「あの、杏寿郎さんっ、
…その紅が付いてしまいますよ?」
「今日は、洋装なんだな……、
髪型も服に合わせたのか?
列車の時のような感じだが……。
…もしや、俺と…お揃いだったりするのか?」
今日はワンピースを着たのだけど
採寸するのに着物よりも手間がなくていいから
それに合わせて髪はハーフアップにしたので
杏寿郎さんとお揃いになってはいるが
さっきまでと
更に距離を詰められてしまって
指先についている
あげはの唇から移った紅を
杏寿郎がじっと眺めて
熱っぽい視線をこちらへ
向けて来ていたと 思ったら
その指先の紅に合わせる様にして
自分の唇を寄せると
不敵な笑みを浮かべながら
ベロリとその紅を舐めとってしまって
彼にそうされるのを
想像させられてしまって
背筋の辺りにぞわぞわした
感覚が走った
「どうだ?」
と短く聞かれて
すぐに私が返せなくなっていると
「俺は、そうしたいと思っているのだが?
君はどうだろうか?」
「で、でも…紅が
落ちてしまいますから…ダメ、んっ」
断りを言い終わる前に
杏寿郎に唇を塞がれて
そのまま 唇で唇を挟まれて
吸い上げられてしまう
わざとだ
きっと わざと
唇が擦れて 紅が落ちる様に
私の紅が 自分の口に移るように
そんな口付けをしてるんだ…
トントンと彼の肩を叩いて
口付けを止めさせると
不満そうに彼が
私の唇から自分の唇を離して
距離を取ったので
彼の唇に移ってしまった
自分の紅を指先で
拭い取ろうとした手首を
杏寿郎に掴まれてしまって
「どうして、そうしようとする?」