第24章 町行かば ※R-15
あげはの願いとは
一番に仕立て屋に行きたいと言う物だった
入浴を済ませて
支度を整えると
使用人が馬車が着いたと伝えに来た
もう出る時間まで完全に
把握されてるなとあげはは思った
屋敷の使用人が
玄関に並んで主を見送る
「行ってらっしゃいませ。炎柱様、あげは様」
そう使用人が呼んだのを聞いて
杏寿郎が
「あげはの事は、この屋敷内において
鏡柱と呼ぶように徹底させるか?
俺はそうすべきだと思うが、君の意向は?」
そうこちらを向いて確認を取って来て
「……、私には柱足るものが…と
言いたい所ですが、どうせそれも
許しては貰えないのでしょう?だったら……」
私が柱に相応しくないと言えば
杏寿郎はそれを認めてはくれないし
現にさっきだって
杏寿郎に鏡柱と呼ばれた所だ
「なら、決まりだな。今後、そうしてくれ」
自分達の主がそうだと言えば
この屋敷の中では
あげはは鏡柱と言う事になる
多少後ろめたくも感じるのだが
実際には甲の隊士なので
昨日の杏寿郎さんは
私が柱であるのを
否定させたくない感じだったし
それにそれは今朝だって
そう言っていたのだから
この屋敷の主は杏寿郎さんなので
使用人さんにそれを徹底する事に
私は意義を唱えるのも
おかしいと言う事で……
馬車に杏寿郎が乗り込むと
中からあげはに手を差し伸べて来る
「君は、俺の隣に座るといい」
「言われなくても、そうしますから…」
自分の隣に座るように促されて
腰を降ろすと
スッと私の腰に杏寿郎が
腕を回して来て体を更に
自分の方へ寄せる様にして
引き寄せられる
屋敷の使用人さん達が
一列に並んで
こちらに向かって手を振っていて
馬車を見送っていたの対して
あげはもそれに
応える様にして手を振っていて
ある事に気が付いた
杏寿郎さん 今
あの人に目配せ…したような?
確か あの人は……
ここの炎屋敷の使用人の長のような人で
春日さんから聞いた話だと
えっと 確か名前は
あ そうそう 工藤さんだ