第24章 町行かば ※R-15
耳元に口を寄せられて
甘く囁かれる
「君は、どうしたいんだ?あげは。
俺と、したいのか?したくないのか?」
あげはの事だから
今はしたくないとか
昨日あんなにしておいて しませんよとか
そう言って来るんだろうか?
現に俺に控えてほしいと言って
希望して来たくらいなんだからな
あげはからの返事は意外な物だった
「……いいですよ?杏寿郎、
このままその、…しても」
「しかし、無理強いをしたい訳じゃないんだ、
昨日は…、その。無茶をさせたのではないか?
体調は…大丈夫なのか?」
どうしたんだろ?いつもは
そんな風に聞いて来たりしないのに
私が ああ言ったから
気にしてるのかもだけど
それに身体を気遣う様なこと…
それこそ 最初の方は聞いてくれたけど
いや たまに聞いてくれるけども
私が控えてって言ってるのに
許可したから 混乱してるのか…な?
「その、……言いにくい事なのですが。
今…して置かないと、そのしばらくの間…、
そう言う事が…出来なくなると言いますか」
「それは…、何故だ?今じゃないと、
いけない理由が、君にはあると…」
と返してから
はっと気が付いた事がある
今の内にして置かないと
しばらくの間 できなくなるとは
一体 どういう意味なのだろうか?
あげはの言葉の意味を
杏寿郎が考えてていると
「そ、その……、私が健康な
女性である証拠ですから…」
あげはが語尾を濁しながらも
小さな声で顰めながら
言ってきたので
その仕草から俺は事情を理解したのだが
「なら、尚更…体調は大丈夫なのか?」
「はい、そちらはご心配なく平時より、
加味逍遙散(かみしょうようさん)を
服用しておりますので」
「君の言わんとしている事の意味は、
俺にはわかりかねるが。なら、俺は
……遠慮しなくてもいいと言う事か?」
「え?ご容赦はして頂きたいですが…
朝ですし?その、この後に予定もありますし?
お手柔らかに……とは、なりませんかね?」
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用語解説
加味逍遙散(かみしょうようさん)
月経前症候群や更年期障害に
効果のある漢方薬。
症状に合わせて、この他にも
選択される漢方薬はありますが、
幅広い症状に効果のある漢方薬。