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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第1章 序章


「苦い!」廊下にいてもかなりの
大きさの声が響いている
コンコン ガチャリ 
病室のドアをノックして開くと中に入った

「ですから、何度も説明は
しておりますでしょう?炎柱様」
今度はアオイの怒声が耳に入ってくる
「…し、しかし、苦いものは、苦い」
「お薬は苦いものですので。
良く言いますでしょう?良薬は…」
「口に苦しか…、しかし…、
ここまで苦いとだな」「ですから」

2人の終わりの見えない
口論を止めないことには
蝶屋敷に平穏は訪れそうにない 
何とかしないと

「アオイちゃん、
ここは私が何とかするから。
アオイちゃんは仕事に戻って?」
アオイがあげはの方を見て 
安心したのか
「あげは様、後は、お願いします」
と言って頭を小さく下げると 
仕事へ戻って行った

「貴女は…」
私の顔を見た杏寿郎は
呆気に取られているようで
大きな目を更に大きくしていた 
かと思うと
まじまじと私の顔を見て 
それから口を開いた

「…鏡柱である、貴女が何故ここに?」
私がアオイと同じ看護服を着ているので
杏寿郎は混乱しているようだった
「元・鏡柱ですよ。今は只のしがない
平隊士ですよ。炎柱様」

柱であった私に“炎柱様“と呼ばれた
のが腑に落ちない様子で
「貴女は、元とは言えど柱、
俺に様を付ける必要などない!!」
とあまりにもハッキリと言い切られてしまい
えーっととあげはは考えて

「えっと、じゃあ、煉獄君」
「どうした?」
「煉獄君は、お薬は、お嫌いですか?」
「に、苦いからな…、
どちらかと言うと苦手だ!」
「苦いから、ですね。だったら、
私が魔法をかけて差し上げましょう」
「魔法?」
あげはがポケットから小さな瓶を取り出すと
杏寿郎の手にある
薬湯の入った湯飲みの中に入れた

「これは?」
「まあ、騙されたと思って、
飲んでみてもらったらわかりますよ」
半信半疑に促されるまま
口をつけて飲んでみると
苦味がまろやかになっているように感じた
「苦いのは、苦いが。
大分マシになったな、それは?」
「ただの薄めた蜂蜜ですよ、
そのままだと濃すぎるので」
杏寿郎が薬湯を飲み干したのを見届ける

「でも、これはさっきのアオイちゃんには。
内緒にしておいて下さいね?」
台所にある蜂蜜を
泥棒してるのがバレちゃうので 
と足した


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