第23章 いつかと昨日の口約束
この声…
彼女から感じる
威厳とも取れる 気迫
これが 本来の…彼女なのか?
ー鬼殺隊鏡柱 仁科あげはー なのか?
いや そうだ そうだったんだ
これが 本来の彼女なのだ
確かに 初めて彼女と会った時の
あげはと 今のあげはは
ピッタリと重なる
昨日の彼女とも また別人のようだ
今日の彼女は 昨日の彼女よりも
数段に 上かも知れんな?
「どうした?鏡柱、仁科あげは」
「一手、お手合わせ願えませんか?炎柱」
「成程。俺は、いつでも応じると
言ったからな!付き合おう!鏡柱!」
「思ったんです!杏寿郎っ、
さっきの鏡を連ねて、鞭にするやつ、
あれ、他の呼吸とも合わせられるなって。あ!」
構えておきながら
あげはが構えを解くと
「私のやりたい事にお付き合いして
頂きたいので、杏寿郎には、真剣で
お願いしたいのですが?」
「ん?どうして、君が木刀なのに
俺が、真剣なんだ?」
あげはの言葉に杏寿郎が
不満そうな顔をしたので
「だったら、木刀……、
二分しても知りませんよ?」
「うむ、心得た。あげは!来るといい」
他の柱と手合わせをした事が
ないわけではない
宇随とも 冨岡とも
そして 不死川とも……
他の柱とも 何度も
こんな風に木刀をぶつけ合った事はある
それなのに…だ
なぜだろう 彼女と剣を合わせ
互いの剣をぶつけ合うと思うと
こうも 俺の中の何かが
沸き上がるような
そんな感情を覚える
それは俺が彼女に好意を
愛情を持っているからか?
いや 違うな 俺は
ずっと 尊敬していたのか
柱としての 彼女を
柱としての 彼女に
敬意の念を抱いていたんだ
不意に彼女の姿に
あの白い羽織を身に纏った姿が
重なる…
そうか そうだったのか
俺はずっとあの日から 彼女を
鏡柱の彼女の幻影を
追いかけて…居たのだな
そして 今の俺は
あの時の 5年前の俺とは違う
今の俺は 柱だ…
彼女が突然 間合いを詰めて来て
だが その距離は…
「考え事?いいの?今、そんな事してて
鏡炎の呼吸 鏡連(きょうれん)不知火っ!」