第23章 いつかと昨日の口約束
「ああ、だったら、もっといい
威力を各段にあげる方法がありますね。
生生流転と組み合わせれば……、
更に威力があがります。スピード重視なら、
霹靂一閃との組み合わせが
いいのかと思いましたが、回転を重ねるのは
生生流転のメリットですから」
「受けるか?君がすぐに出来るなら…だが…」
彼女は自分が使える型の動きを
頭の中でイメージして組み合わせる
能力に長けているのだな
それも瞬時にそれが可能なのか
「水の呼吸と炎の呼吸
……を合わせる…」
あげはがそう漏らして
それにしても…だ
考えた事も無かったな
水と炎を組み合わせる
対極だから合わせようとか
そんな発想もしなかったけども
そのままあげはが固まっていて
何かを考えているようだった
「生生(しょうじょう)たる不知火の流転」
何かを掴んだのか
あげはが嬉々とした顔をこちらに
向けて来て
ぐっと自分の拳を握ると
「杏寿郎!これは、私も誤算でした。
今まで、水と炎を合わせる
発想はしてませんでした!あっ!」
とあげはが何かを
思い出したかのように声を上げて
「どうした?」
「すっかり、忘れていました。
杏寿郎に確認させて貰いたい型ですよ!」
「ああ、すまない。その約束だったな。
俺は、盛炎のうねりをすればいいのだな?」
それにしても…だ
盛炎のうねりは炎の呼吸の中でも
防御的な意味合いの強い型……
何故 あげはは盛炎のうねりが見たいのか
「はい!盛炎のうねりを、
見取り稽古させて頂きたくて…、
手合いの中でも、見たのは見たのですが
もう一度、鏡眼で取り込みたくて……」
おかしなことを言うな…
「君は、盛炎のうねりは使えないのか?」
すると 彼女が
目をパチパチとさせながら
「使えますよ」と答えた
「使えるのなら、
わざわざ、確認する必要があるのか?」
「無駄がないか、より効率的な動きがあるかを
再度、確認する為ですが?複合するにしても
その方がより、応用の幅が広がるので」