第23章 いつかと昨日の口約束
蜜璃ちゃんが似合うから
普段もしたらいいのにと
言ってたけども
これをするといつもの蝶がひとつしか
つけられないしなぁ……
杏寿郎さんは話し込んでるみたいだし
杏寿郎の部屋で用意を整え
終えたあげはは
先に中庭で気になる動きの
練習でもしておこうと
中庭へと向かった
透真さんが あの日記に残してくれていた
言葉があった
それは 鏡を分ける方法……
今まで 壱の型の鏡面では
一枚の鏡を使う
伍の型の 鏡の迷宮 トリカゴでは
確かに多面の鏡を使うのは確かだが
あれは多面の鏡をひとつのトリカゴに
するから そうしてしまえば
1枚の鏡なのだ……
もうひとつ 鏡を具現化させる
まだ使った事のない
試作段階の型があるが
あれも 大きな一枚鏡を作る型だから
要するに 私は
大きな一枚の鏡なら作れるが
複数枚の鏡の同時保有……
でも正確に言えば
複数枚ではないのか
一つの鏡が元になってるのだから
鏡の細分化した状態の維持が
課題だと言う事になる
透真さんが言っていた
水の声を聞くのだと
だったら 鏡にも声があるはず……
最初に透真さんに言われて
水を鏡に変えた時
その時の事を思い出す
水の波紋…波立ち 揺らぐ水面を鎮めて
水鏡を作る……
中庭の中央で
意識を握りしめた
木刀の先端に集中させると
その先端に水が渦を成して集まり
それがやがて水鏡となる
それから更に研ぎ澄ませると
キィン……
金属音にも似た音が
あげはの周囲を包んで
水の鏡は 完全な鏡面へと変わる……
その鏡に呼吸を乗せると
ドンドンと大きな鏡へと
姿を変えて行き
切っ先を上げると
あげはの身体をすっぽりと
覆う大きさになって
更に大きく形を変えて行く
そう ここまでなら
出来る ちょっと前の私にも出来ていた
鏡を大きくする…のは
「鏡の呼吸 壱の型 対(つい)鏡面っ!!」
あげはの前に普段なら
一枚のペラペラの鏡の壁が出来るが
二枚の鏡の壁が現れる
そう ここまでは…
過去に使った事があるから