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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第4章 ちょっとだけ 分かったこと



他に彼女が何も付けていないと言うのなら
きっとそれは
彼女自身の香りなのかも知れんな
甘露寺や胡蝶からも
甘い花のような香りがする事があるが
何だろうな… ほんの少しだけ
微かに感じただけなのに

あの様な 行動に出てしまった 
返事を待たずに
女性の髪の香りを嗅ぐなど…失礼だったな

ただ… あの微かに感じた香りを
もっと嗅ぎたいと
思ったのは… 他に紛れもない 事実だ
あれこれと思考を巡らせていると

トントンと隣から肩を叩かれて
「始まるみたいですよ、サーカス」
と声を掛けられた

玉乗りに ジャグリング 
ライオンの火の輪くぐりや
象のショー 綱渡りに空中ブランコ
一つ一つに 大きな声を出して 感心する
私の隣の人の口を いちいち手で塞ぐ
仕事に明け暮れることになるとは

「ちょっと。声、大きいですって!
もう少し、抑えて…煉獄君っ!」
「おお、君も見てみるといい!凄いぞ!!」
目をキラキラとさせて
サーカスを全力で楽しむ姿は
まるで 大きな子供みたいだ…

夢の様な時間を終えて
興奮の覚めやらぬ人々は
口々に感想を述べながら
ゾロゾロと出口への流れを作っていた

お手洗いに行きたくなり 
杏寿郎に声をかけてお手洗いへ向かった
お手洗いは予想通りに列ができていて
時間が掛かったはずなのに
お手洗いとは別の方向から 
彼が人の流れに逆流して
こちらに向かってきた

「すまない。待たせてしまったか?」
「いえ、待つも何も、こちらが
お待たせしていたのに。すいません」

「あげは、手を出してくれないか?」
「こうですか?」
手を出すように促されて
あげはが手を出すと
杏寿郎が小さな箱をその手に乗せた

「これは?」
「これは、今日の礼だ」

お礼?私は別に… お礼ってお菓子の事かな?
でもあれは お礼だし 
何もしてないんだけども…
「風船の代わり…とでも、言うべきか、
それに今日は良いものが観れたしな。
付き合わせた礼だ」

付き合わすも何も
私もサーカス観たいなぁーって思ってたのに
それに あんな特別席のチケット
出してもらってるのに

「え、でも…、ここのお金払って
頂いているのに、そんな…悪いです」

「だったら、詫びとして受け取ってくれ。
さっきは、不躾な真似をしてしまったからな!」

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