第23章 いつかと昨日の口約束
あげはの顔をじっと見て来て
カァッと目の前の女性が
頬を赤らめて染め上げると
「でも、ご結婚の前に…その……
ご懐妊なされてしまうかも、知れませんね…。
あのご様子ですと…。とても、
仲睦まじいご様子。ああっ、でも、
どちらになさいましても、おめでたい事で
あるには、違いはありませんが!
でしたら、なおの事、お式はお急ぎに
なられた方が……」
結婚する前に懐妊する……
彼女の言わんとしている事は
一理ある
よくよく考えなくても
そうなんだよなぁ
見合いとかでもないけども
婚前交渉もいい所だし
確かに 今の 感じでは
順番が逆になってしまいそうでもある
だって 今まで幾度となく 彼とは
身体を合わせては来たが……
一度たりとも 彼は
私の中以外では その
果てた事は……なかったので
でも 確かに
彼からは あの時
正式な求婚をされており
私も それを受けているのだから
別段 それは あの性格の彼にとっては
問題でもないのかも知れないが…
でも あまり順序が逆になるのは
はしたないと噂されそうな
ものではあるのだけども
まして 彼は煉獄家の嫡男であるのに……
その辺りはどう考えているのだろうか?
どうも 無いのかも知れないけども
その考えがあるなら
そもそも そんな行動しない…よね?
はぁっとあげはが
漏らすようにしてため息をついた
「炎柱様も、あげは様も
美男美女であられるので、
きっとお二方のお子様も。
……整ったお顔立ちであられましょうね」
両頬を押さえながら
使用人の女性がそう続けるが
整った顔立ち……ねぇ
確かに杏寿郎さんは
整った顔立ちをしているのは確かだけど
前に煉獄家に行った時に
彼の父である槇寿郎様や
弟である 千寿郎君の顔は知ってるのだ
ご遺影の彼等の母親である瑠火様の
お顔も見たのは見たけども
彼等にはお母上のお顔立ちの
面影がことごとくないし……
「いや、多分、子供は恐らくですが。
杏寿郎さんと同じ顔かと……」