第22章 鏡の中の君を ※R-18
「案外、…丈夫な物だな」
感心したと言いたげに
杏寿郎が横になって頬杖をついたまま
そう漏らすようにして言った
「でも……、私は、本当に壊れるかと…
思いましたよ?鏡台」
そう あげはが恥ずかしそうに
先ほどの情事を思い出しながら
言ってきて
「俺は、鏡台よりも…君を壊して
しまわないかそっちの方が、
心配だったがな…」
そう言いつつも悪びれた様子もなく
はははははと大きな声で笑った
「それともあれか……、あれぐらいでは
君は、壊れたりは、してしまわないか?」
杏寿郎の顔が変わった…
そうする時の そうしたい時の顔に
そっと 私の頭を杏寿郎の手が撫でる
そっと あくまでも優しく
頭をよしよしと
撫でられているだけなのに
どうしてこうも ゾクゾクとした
感覚が頭皮から首へと抜けて行くのか
はぁっとあげはの熱い吐息が
半開きになった 口から零れる
くしゅっとあげはの頭を撫でていた手が
髪の中に差し込まれて
そのまま頭の形に添うようにして
指と手の平全体で頭頂部から後頭部へかけて
撫でられていくと
うなじまで降りた指が
あげはのうなじの窪みを押して
指先で押して圧を掛けつつ
上下に擦られる
ビクンとあげはの身体が跳ねる
「……んっ…あの、手っ」
「俺の手が……、どうした?まさか
約束を忘れたとは、言うまい?」
そうだった
約束したんだった
夜は その
杏寿郎の望むだけって
「その…、すぐに…ですか?」
「ん?まだ休みたい……か?」
「今夜はまだ…時間も早いですし……」
すぐにとは言わずに
もう少し休みたいと
彼女は言いたいのだろうか?
いつの間にか身体を布団の上で
起こしていた杏寿郎に
おいでと言われて
手を引いて身体を起こされると
胡坐をかいて座っている
彼の上に座る様に促される
「だったら、また。ゆっくりと時間を掛けて
じっくりとすればいいと思うが
…君はどうだ?」
「じっくりするつもり…、ある?」