第21章 その鏡に映るのは ※R-18
ともすれば
俺は腰が持って行かれそうになるが
この時の彼女が上げる声が
事の最中よりも
数段に 格別に甘い
トロトロに 蕩けた声を出すので
彼女には毎回 止められるのだが
こうしてしまっている
「やぁん、ダメッ、動かしちゃ、
駄目ッ…あ、はぁ、ああっん」
「こうされるのが、一番好きなのにか?
……どうして君は、そう言うんだ?」
一番 好きと言われたからなのか
彼女が何も言って来なくなってしまって
「あげは……、やはり君は可愛らしいな…」
そう嬉しそうに
笑顔で杏寿郎に言われてしまって
なでなでと頭を撫でられてしまう
そのまま目尻に口付けを落とされて
少し休むかと声を掛けられて
杏寿郎の問いにあげはが頷いた
事が済んで
少し休むかと 声を掛けたのはいいが
どうして俺は 今
あげはに身体を抱きしめられていて
包み込まれて心地いいのはそうなのだが
そうされたままで
よしよしと頭を撫でつけられていて
普通 逆じゃないかと
そうも思ってしまうのだが……
どうして こうなっているんだ?
「あげは、聞いても構わないだろうか?」
「んー?何ですか?杏寿郎」
「どうして、今、
俺は、君にこうされてるんだ?」
「うーん、そんな事、どっちでも
いいじゃないですか。
私がこうしたいからですよ。
杏寿郎は、いい子ですから」
「また、そう言って
…君は俺を子供扱いする……」
あげはに子供扱いをされて
ムッと彼が不機嫌そうな顔をしていて
「だって、杏寿郎は、私より年下でしょ?
だったら、私がこうしても
いいと思うけど……?」
ぎゅうっと抱きしめられて
更に頭をよしよしと撫でられて
額に口付けを落とされる
あげはが俺の手を探り当てて
そのまま指を絡めて繋がれると
ぎゅとその指に力を入れて握られる
「あげは?」
「だって、……私だけ…、
でしょう?杏寿郎……」
「また、……そんな事を言って、
君は俺を甘やかす…んだな」