第20章 炎柱 と 鏡柱
そんな風に何とも言えないくらいに
熱っぽい視線を向けられてしまって
「そ、それは…、違いませんけど。
でも、杏寿郎が飲んだらっ…意味が」
あくまで 俺には飲んでほしくないと
あげはは言いたいのだろうが…
「君は遠慮が多いぞ?あげは……
何なら、一緒に飲んでもいいが?」
一緒に飲まれてしまっては
私がこれをひとりで 飲みたいと
思っていた意味が無くなるのだけども
彼はそれを 分かってるのか
いないのか…
杏寿郎が手に持っている
その酒の瓶の口を
あげはが手で塞ぐと
「ダメですから、杏寿郎は飲まないで…って。
正直な話……心苦しいとも、
思っているのですよ?私に、もっと
体力があれば……最後まで、
その。お付きあいが…」
「残念だが、それは……少々誤解があるな。
あげは。君は俺がもっとと望んでいるのを、
止めさせてしまってると、
我慢させてしまってると
気に病んでいるのかも知れんが。
それは、違うからな」
だったら どうだと言うのだろうか?
それが違うと言うのなら
「だったら、どう言った意味で?」
にやりと不敵な笑みを
杏寿郎がこちらへ向けていて
「俺が、君にそう言われるのが好きなだけだ」
「私に、そう言われる?」
何の事だと言いたげに
あげはがそう問うと
「ん?さっきも同じ事を
言わなかったか?あげは。俺が、君にそう
言わせたいから、そうするんだと言ったら?
素直に、そうしたいのもあるが、
それだけではなくて。俺は、君にそう
言われたいから、そうしてしまうのだが?」
「……そ、それはっ」
あげはが言葉を
返せないで居ると
杏寿郎がグラスに勢いよく
薬膳酒を注いでいく
グラスになみなみと注がれて
多い それは 多すぎるっ
明らかに
一回量である30mlの
6倍近くはありそうな量だ
「飲むのだろう?」
「いや、あの……、それは
少しばかりですね、
多すぎやしませんかね?」
「君は、酒にはあまり酔わないし。
これぐらいでもいいんじゃないのか?」
確かに私は 酒には酔わないが
それの中に溶けている方の薬効は
漢方薬については
ちゃんと効く方なのに