第20章 炎柱 と 鏡柱
答えろと言わんばかりに
あげはの顔の隣に杏寿郎が
その瓶を掲げると
瓶を揺らして中身が
酒の中で動く様をあげはに見せつける
ちらっと横目で
その瓶の中をあげはが見ると
酒の中で
タツノオトシゴが達が
ゆらゆらと揺れているのが見えた
タツノオトシゴ……
「答えられないのだな。だったら、これから
これを俺が一気に煽ると言ったら?」
「それはダメっ、答えるからっ!言うから!
それはしないで、お願い!そんな事されたら。
私が死んでしまうかもしれないから!
ご容赦を…。それに用法、用量があります、
これは薬ですから」
不安そうな顔をして
あげはがこちらを見ていて
それに死んでしまうと言ったか
いささか穏便ではないが…
「お飲みに…なられるのですよね?」
「いけないのか?で、これの効果は?」
あげはが
気まずいのか俺から視線を逸らせて
「滋養強壮剤です…その、
普通の滋養強壮じゃなくて…。
あの、その夜の方の…」
「成程。それで、君は俺に、
これを飲ませたくはないと……で、
一人で飲むつもりだったのか?まあ、いいが。
もう、夜の時間か?
まだ少しばかり、早い気もするが…」
「え?あの、杏寿郎……」
「君は、飲むつもりなんだろう?
だったら、俺が飲ませてやろう、どうだ?」
そう言いながらも
徐にその瓶の封がされているのを
開いて行っていて
「いいです、用量あるので計量しますからっ!
それに、お手を煩わせずとも、
自分で出来ますからっ」
「遠慮するのは、良くない。あげは、君は
俺の妻になるのだからな、気にする必要はない」
そうは言っても
顔が滅茶苦茶
嬉しそうでそれでいて
楽しそうですから とてもっ
おいでと手を伸ばされて
あげはが立ち上がり杏寿郎の前に立って
その手を取ると
自分の膝の上に座る様に促されて
横向きになってその膝の上に座る
とても教育の行き届いた
使用人の方達は
もうすでに 下がっていて
空気の読み方が 凄いな
いや 杏寿郎が
私に気付かれない様に
合図をしていたのかも知れないけども……
「浮かない顔をしているが?
考え事か……あげは。
それに、君がそうしてくれようとしたのは、
俺の為だろう?違うか?」