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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第20章 炎柱 と 鏡柱


あげはの言葉を遮って
慰めようとしたのを止められてしまって


「彼の事は…、救いたいけど」
「けど?」


「アイツの事は、許せない…、
絶対に許さない。許してなんかあげられない!
カナエちゃんに酷い事を…」


そう言葉を紡ぐあげはの
表情が険しい物に変わって


殺気


殺気だな これは

彼女の身体から
沸き起こるほどの強い殺気が滲んでいて


「しのぶちゃんの、しのぶの為にも…。
アイツは許せない」

「それは、俺も同感だ。俺も、彼の事は
切り伏せたいと思っていたからな!
しかし、彼等は一つの身体を
共有しているのだろう?
彼が死ねば、当然、もう一人の彼も…」

「でも、それは仕方ない事だから。
…それは彼も知ってるし」


仕方ない事…?
彼女はそれを そう言えるのか

彼を取り戻したいと
殺してしまいたくないと

彼女は思わないのか?


「いいのか?あげは。……彼を」

あげはがこちらを
真っすぐに見据えていて
その瞳から目を逸らせない
強い意志が そこにあると感じる


「杏寿郎、私は……彼を救いに行くんだよ?
助けてあげたい、その負の連鎖から
救ってあげたいの」



そうか 

もう 彼女はそれを迷ってないのだな

やはり

あげは 君は



「やはり、君は、強いな……。あげは」


「でも、それは、みんなのお陰でもあるし。
杏寿郎が居てくれるから、私だけじゃ
何も出来ないよ。
だから…、ありがとう。杏寿郎」


あげはが自分の胸に
自分の手を当てて
その瞳を閉じた


「迷ってばっかりだった、
後ろ向いてばっかりだった。進む事も
出来ないままで、ずっとしゃがみ込んでた。
でも、貴方が、居たから、
貴方が言ってくれたから……」

その瞳から感情と共に零れる涙を
杏寿郎が親指の腹ですくって

「あげは、俺は……」

「彼を倒そうって、言ってくれたから……。
そう約束して、くれたでしょ?杏寿郎」

「ああ、したな。した、…間違いなく」

目を開いたあげはが
俺の両手を包むようにして
自分の手を重ねて握ると

「杏寿郎が居たからだよ?だから、私、
頑張ろうって思ったの。前に進もうって、
そう思えるようになったから。だから、
杏寿郎は私が、救ってくれたって言うけど」
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