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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第20章 炎柱 と 鏡柱


「あの、机とタンスは元々は、
カナエちゃんの使ってた物だったので。
どうしても、置いて来れなくて……だから」

ギュウっと抱きしめられて
頬と頬を合わせられる

「だったら、……尚更、
そうするに決まっている」


彼女にとって

あの時 母上の墓参りに行った時の
あげはの言動を思い出す

亡くした人の好きだった物
残してくれた物は

その人と同じぐらいに
大切な物のはずだ


頭の中に残る その人との思い出と
同じくして………


あげはは 人の事を大切に出来るが
それと同じぐらいに
亡くなった人の事も 大切に出来る


「杏寿郎、私……カナエちゃんに
悪い事してたの、ずっと……」
「俺に聞いて欲しい、話…なのだな?」


そう問いかけると
あげはが頷いて
ぎゅっと俺の手に重ねた
自分の手で俺の手を握って来て


「カナエちゃんは、透真さんに
相談されてたみたい。
それも大分前から……」
「相談?何をだ…」

「透真さんは気付いてた、自分の中の
もう一人の自分の事、そしてそれを、
…カナエちゃんに相談してた。それを聞いた
カナエちゃんは、透真さんに二重人格に
する治療をしていたの……」

ふぅっとあげはが
ため息を漏らして

「でも、彼は二重人格ではなかった」

「だったら、何だったんだ?」

「彼の中に、もうひとつ、
脳があって。それに別の人格が居たの……。
カナエちゃんは、それをずっと気に病んでた。
その診断を見誤った事を、
自分の所為だと責めていて……」

「そうだったのか……、彼は二人だったのだな。
それも、全く別の…」

「口止めされて、脅されてたみたいで…彼に。
私は…、それを何も知らなくて…!
カナエちゃんを、カナエちゃんを、
悲しいまま…苦しいまま逝かせてっ
…しまって…、カナエちゃんに、
酷い事を……して、しまって。私はっ…」


「あげは、君の所為じゃ…」


先ほどまで涙を溜めていたとは
思えない程の気迫のこもった
目をあげはがしていて



「そうじゃないの、最後まで聞いて」


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