第3章 琥珀糖の
汽車のボックス席はそんなに広くはない
向かい合わせに座って居ても
膝が当たりそうになる
俺の体格のせいもあるだろうが
彼女も女性にしては上背がある方だから
余計に手狭に感じてしまうのかも知れないが
少し体勢を変える時に膝がつかえてしまった
「当たってしまったな、狭いか?」
「いえ、私は大丈夫です」
膝が当たったのを気にしてなのか
声を掛けられた
隣のボックス席も空いてはいるが
彼女を1人にしておくと
またさっきの様な輩に絡まれるかも知れんしな
「そっちも空いているには、空いてるが。
君は俺の側に居るといい」
何気ない感じに言われてしまったが
取り様によっては深堀りしてしまいそうになる
ちらっと彼の顔色を伺ってみるも
私が思うような意味合いは
無いのかも知れない…
用意して来たさつまいものタルトと
芋羊羹をあっと言う間に
平げてしまったのを見て
「よろしければ、まだありますけど?」
と声をかけた
「そうか!なら、頂くとしよう!」
「沢山の方がいいと、
しのぶちゃんが言ってたので。沢山ありますよ」
そう言ってニコニコしながら 手渡してきた菓子は
先程食べたものとは違う様だった
「これは?」
「これは、パウンドケーキです。
さつまいも入ってますから!
後、こっちはさつまいもの蜂蜜煮です」
「そうか、…これも美味いな」
「あ、でも…。さつまいもは
何がお好みだったんですか?」
あげはは俺がさつまいもを
どうするのが好きなのか
知りたい様だった
「さつまいもは、煮ても、焼いても、
揚げても美味いが…さつまいもご飯と、
味噌汁が好きだな!」
「でしたら、今度ご一緒する際には、
さつまいもご飯のおにぎりでも
用意しときますね」
「それは、楽しみだが…。
俺としては君の作った、
さつまいもの味噌汁が飲みたい所だが?」
えっと それは
俺の為に毎日味噌汁を作ってくれ的な…やつ?
あ でも
さつまいもの味噌汁飲みたいだけかも?
毎日って言われてないし
「どうだろうか?」
「また、何かの機会があれば…いいですよ」
上手くかわされてしまったか
まぁいい 急く必要もないしな
俺はまぁせっかちな部分もあるが
急いては事を仕損ずるとも言うしな