第20章 炎柱 と 鏡柱
両肩に手を添えられて
耳元に口を寄せられると
「大事な文言が、…抜けている様にあるが?」
「そうでしたか?私は……。杏寿郎の口から
もう一度、言って頂けるのかと
…思っておりましたが。
違ってましたでしょうか?」
そう言ってにこっと
あげはが杏寿郎を見上げて
ほほ笑んで来たので
そっと あげはの両方の頬に
杏寿郎が手を添えて来て
じっとその瞳に見つめられれしまう
「仁科 あげは。
……永年において
炎柱である煉獄杏寿郎の、
管理下の元に寄るものとする。
……受けてくれるか?」
「謹んで、お受け致します。
炎柱、煉獄杏寿郎様」
「あげは……、いいか?」
「…っ、こういう時は
…聞かなくていいですから」
スッと手を掴まれて
指を絡め取られる
そのまま唇を近づけられて
口付けられた
「ん、…杏寿郎っ、んん、…ちょ、あのっ」
「どうした?あげは。どうかしたか?」
どうもこうもない
空いている手が私の帯に掛かってたから
「あの、…夜って言ったのっ、お忘れに?」
「だが、君が俺の言葉を受けてくれたのに、
そうしないのは、おかしい…違うか?あげは…」
いや 確かに
この流れで そうしないのは
おかしいと言う 杏寿郎の言葉は
ある意味 正しいのかもしれないけどもっ
「杏寿郎っ、ここで……なの?」
「君は、ここでは嫌なのか?
……人は払ってあるが」
「でも、お布団…ないのに?」
不満そうな顔をしていたらからなのか
よしよしと頭を杏寿郎に撫でられてしまった
「なら、君が、座って居る
俺に乗ると言うのは…?」
そう耳元で囁かれて 提案されて
「そ、それなら…いいかな」
と答えてしまったばかりに
こうなる 訳であって……
まだ荷物の整理も全くしていないのに
もう夕方近くになっていた
「杏寿郎?」
「すまない、あげは。
反省はしてはいるが…俺は」
「いいです、聞きたくないです。
もう。まだ荷物の整理も付いてないのにっ。
それに、人を払っておいでなら、
家事もしなくては」
「いや、多分だが、
食事の用意なら済んでると思うがな」