第20章 炎柱 と 鏡柱
「だったら、二段呼吸(にだんこきゅう)
をしたらいいじゃないですか、ね?」
複合呼吸ができないのならば
二段呼吸をすればいいと さも当然とでも
言いたげな感じで言われてしまったが
彼女の言う所の 二段呼吸と言うのは?
「二段呼吸?何だそれは……」
「複合呼吸が、異なる呼吸を合わせるのであれば。
同じ呼吸を重ねるのが、二段呼吸ですよ。
単呼吸で型を使う時はそうしていますよ。
そうして型を使うと、威力が増しますから!」
至極当然の様に
簡単で当たり前の事の様にして
彼女は言ってのけたが
これは 簡単なことではないぞ?
いや 普段から二つの呼吸を併用してる
彼女からすれば 一つの呼吸を重ねるのは
安易な事なのかも知れんが…
「どうやら、教えを乞うのは
俺の方かも知れんな…。鏡柱。俺が君の
指導をする代りに、俺にもご教授して
貰いたいのだが?その二段呼吸とやらを…」
「いいですよ。あ!こんな事をしてる
場合じゃないじゃないですか!杏寿郎、
いつになったら私を、
炎屋敷付きにしてくれるんですか?」
この広間に来た 当初の目的を
あげはが思い出して そう急かして来た
「ん?俺は君を、
炎屋敷付にするつもりはないが?」
ハタっとお互いの視線がぶつかって
そのまま見つめ合ってしまった
え? 杏寿郎は
私を炎屋敷付の看護者にしてくれる
つもりがないってこと?
「え?じゃあ……私は、何になるんですか?」
不安そうな面持ちをしながら
あげはが杏寿郎に尋ねて来て
「何か、誤解が生まれているようだが。
君は炎屋敷付きではなくて、俺付きだが?」
「ええええっ?
ちょ、どういう事です?杏寿郎っ!」
え?でも 炎屋敷付きになるって
しのぶちゃんも言ってたのに?
え?どう言う事?
炎屋敷付きでないのなら
炎柱付きって事?
炎柱付きになるから もれなく
炎屋敷付きになるって言う事って事?
「むしろ、君が何故そこまで驚くのか
俺には分からないが。君は炎屋敷ではなくて、
俺の直属での配属だが?それも……」
「そこは、文言を添えられていたので
分かってます。
杏寿郎の管理下…で、ですよね?」