第20章 炎柱 と 鏡柱
こうして実際にお互いの
剣を合わせてみると
改めて実感する
彼の反射速度 かなり正確だし
技の初動の見極めも速い……
初見の型も入れてみたけど
的確に対応出来ていたし…
正直に 私が推し量る所
お互いの体力を考慮すれば
戦況が長引くほど 当然
私の方が早く疲労して来るだろうし
状況が不利になるのは 確か
なら まだ体力のある今の内に
彼を地面に倒そうと
するのであれば
私は生生流転クラスの型を
乱発するつもりで
行かないと行けないし?
彼もそうなれば
炎虎クラスの…型を
当然返してくる訳で… でも
いや でも私との手合わせで
流石に 奥義までは…
こんな所で 出しては来ないよ…ね?
とそんな事を考えていると
「君のあの鏡、どこまで受け止め切れる?」
そう杏寿郎が私に問いかけて来て
杏寿郎の言葉に嫌な予感がする
もしかして ここであの技を使うつもりっ
いやいや それはダメだから!
流石に 危険すぎる
「ちょっと!杏寿郎っ。鏡の強度には
限界があるから!受け止め切れない技だったら、
その場で割れて衝撃が周囲に飛散して、
ここでましてそれをすれば……」
あげはの言葉に
杏寿郎が肩に刀を担ぐ構えを解いて
「そうか、それは残念だ。
君なら受け止めてくれるかと思ったが……
君がそう言うなら。それは、諦めるとしよう。
家が壊れるのは困るからな。俺も」
そう言うと杏寿郎が
日輪刀を鞘に納めたので
あげはも同じように日輪刀を
自分の鞘に納めた
じとっとした視線をあげはが
こちらに向けていて
「杏寿郎?私の鞘に傷が入ったんだけど?」
「それは、俺の所為ではないだろう?
君の初動が遅れたのが悪い」
「仕方ないでしょ?日輪刀を袋に
入れてたんだから。それに、不意を
打ってきたのはそっちだし!」
「だが、君が腑抜けたような事を何度も
言うのが悪いんだ。違うか?君が何と
言おうが、君には柱足るものが揃っている。
君が君のそれを否定するのは、
おかしいと言ってるんだ」
先ほどまで 不機嫌そうにしていた
あげはが はぁっとため息を漏らして
「ねぇ、杏寿郎…」
「どうした、あげは?」
「また、してくれる?私と…」