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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第20章 炎柱 と 鏡柱


広間には衣桁掛けが置かれていて
そこには杏寿郎の羽織が掛けられていた

その隣に新調したのであろう
新しい衣桁掛けが置いてあって

「君の羽織を、そこに掛けるといい」

「わざわざ、新調して頂く
必要もありませんでしたのに……」

「君のその羽織は、特別な羽織だ。
俺の羽織が特別な意味を持つように、
君のその羽織も、また…
特別な意味を持つものだろう?」


特別な意味を持つ羽織
お館様から柱になった時に
直接賜った羽織


”鏡柱”としての 私に…


畳の上に置いた風呂敷包みを
解いていたあげはの手が止まった

止まっていたかと思っていたら

あげはが包みを開いて
その中から
あの白い羽織を取り出した


何も言わずに
あげはは自分の手にある
その羽織を見つめていた


きっと 彼女はもう
二度と これが自分の元に
戻るとは思っては居なかったのだろう

4年前に 柱を辞した時に

返納した物なのだから
鏡柱の名と 共に…


「あげは、君はこれが自分に相応しくないと
自分が、この羽織に袖を通す資格がないと
そう……思っているのか?」


杏寿郎の言葉が
酷く重く自分の中に
のしかかって来る

その通りだからだ

私にはもう これに
袖を通す 資格なんてないのに

それなのに…あの時

お館様は
あの時……

これを着て
彼を 透真を討って欲しいと

仰られた

ー「これは、君の羽織だ。他の誰かが
着ていい物じゃないんだよ。あげは」ー

あの時のお館様の言葉を思い出す

「私の……、羽織…」

正直 自分にも
分からないでいた

自分がこの羽織に
袖を通してもいいものなのかと…

かつて 自分の物だった
白地に銀糸の刺繍の入った羽織

その羽織を見つめると
何も言わないまま
それを衣桁掛けに掛けた


「俺は、それを着て戦う君が見たいがな!
初めて君と出会った、あの夜の様に……」

「杏寿郎、私は…柱を辞した身ですよ?」

「今の自分には、柱足る物が
足りないとでも言いたいのか?」


「槇寿郎様に、大きな口を叩いて置きながら、
自分でも、情けない限りですが、
……今の私は、柱ではありませんから。
呼吸の技は確かに、以前の柱の頃より
磨き上げて来たつもりではありますが…」




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