第19章 心 向き合う ※R-18
「これも、運んでおいた方が良さそうだな。
いつまでも、ここに置いて
置くのも良くないしな」
「ちょっと、待って下さい。
先に履物を揃えないと」
玄関で乱暴に脱ぎ散らかされていた
自分と杏寿郎の履物をあげはが
きちんと並べ直した
その履物の乱れ具合を見て
気恥ずかしくなってしまったのは
言うまでもないのだが……
「……その、すまないな、あげは。
羽織は、どこにある?
それ以外は部屋に運ぼう」
そう感じていたのは
私だけではなくて
そうした当の本人である
彼の方もそうだったようで
視線を泳がせながら謝罪して来て
羽織について聞いてきた
確か隊服と羽織は一緒に包んだから……
「ああ、羽織と隊服はこれです」
羽織と隊服を包んだ
風呂敷をあげはが手に取ると
「なら、残りは部屋でいいな」
5つ程ある風呂敷包みを
軽々しく杏寿郎が持ち上げて
自室へと運んで行く
「ここが、俺と君の部屋になる」
「ここですか…、ありがとうございます」
案内された部屋は10畳ほどはあるが
家具も配置されているし
私の荷物で溢れるのもなぁ……と
あげはが考えていると
私があれこれと 思案しているのを
杏寿郎に悟られてしまっていたようで
「君はそんなに、俺と同じ部屋は嫌なのか?
俺は、屋敷に居る間位は、共に居たいと思うが」
「いえ、決してそうではなくて。お部屋が
私の私物で溢れてしまうのではないかと……」
「なら、荷物の置き場があればいいのだな?
俺と、同じ部屋が嫌……と言う訳ではないと
解釈していいと?」
じっと見つめられて
質問の答えを待たれている様だった
正直 自分の部屋貰いたいけど
蝶屋敷でも部屋貰ってたし
杏寿郎は一緒がいいって思ってくれてる
みたいだから……
そうして欲しいとお願いしにくいけど
ここも負けないくらいに
お屋敷は広いから 一室くらいと
思ってしまわないでもないのだが
と杏寿郎への返答をあぐねいていると
「即答でないと言う事は、自分の部屋が
欲しいと君は考えている
…と言う事で間違いないな?」
即答しなかったから
私が自分の部屋が欲しいと
考えているのがバレてしまったのか
だったら 隠しても仕方ないのか