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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第19章 心 向き合う ※R-18


「そうですよ、……私がずっと想いを
寄せていたのは、あの時、杏寿郎が
出会った方の彼ではありません。
鬼殺隊の水柱である透真さんの方です」


不思議だった


彼女の口から
彼女が他の男を愛していたのだと

その彼が未だに心に居るのだと……


聞かされるのをあんなにも
俺は恐れてしまっていて

到底受け入れられないとすらも
感じていたのに


むしろ……


彼女が愛してやまなかった

彼と言う 存在が

あの時の 三上 透真 でなくて

良かったとすら

思えて 感じられて


すっとあげはが杏寿郎の
両手の上に自分の手を重ねて
ぎゅっとその手を握った

握られたまま
持ち上げられてしまって
あげはが俺の手を
自分の胸の前まで持って来ると

じっと真っすぐに
あげはの目が俺を捉えていて

ああ なんて
彼女の瞳は…… 美しいのだろう
それでいて とても 優しいのだろう……


「杏寿郎、私のわがままに
付き合って貰いたいの!
私……彼を、救いたいっ!救って
……あげたい。討つんじゃなくて、
助けてあげたいの、……だからっ……」

「あげは、俺はそれを君から
お願いされずとも俺の答えは
決まっているぞ?君は…
討ちたいのではなく、彼を救いたいのだな?
……そして俺にそれを
手伝って欲しいと言いたいのだな?」


俺の命は元より
あの5年前のあの日に

あげはに拾われた命なのだ……
答えなんて……決まっている

そして 彼女は
一度ならず 二度までも

俺の命を救ってくれた

今こうして
俺がこの世界にあるのは

彼女のお陰なのだから

あの時の恩を
返したいと言った
俺の言葉を……あげはは


憶えていてくれてるのだろうか?



「杏寿郎。手伝って…くれる?」

「ああ、勿論だ。あげは。
彼を…救いに行こう、共に!」


そのまま杏寿郎の身体に
自分の身体を預けて
抱きしめられていると
心の中から満たされて行くのを感じる


「あげは……、君は俺には
理由がないと思ってるんじゃないのか?」

不意にそう問いかけられて
しばし考えてみるものの
確かに 私やしのぶちゃんや
義勇それに宇髄さんの様な

明確な理由が…彼には無いのかもしれない

強いて言うのであれば

あの時の私との約束……だろうか?
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