第19章 心 向き合う ※R-18
「……しんどくは、ないですか?杏寿郎」
あの時の言葉を 彼女が俺に言った
あの時の俺は この言葉を
彼女の言葉を……怖いとすら思った
その彼女のあげはの言葉に
甘やかされて
立ち止まる事を……恐ろしいとすらも
だが…… 今の俺には分かる
「ああ、しんどいな。
……しんどくて堪らないから
助けてくれと君に頼みたい所だ」
俺がそう答えると
ぷっと目の前のあげはが噴き出して
「いいですよ、杏寿郎。私で良ければ……」
そう答えるとあげはが
ふふふと声を出して笑って
はははとそれにつられる様にして
杏寿郎も声を出して笑った
彼女は俺を
支えたいと思って…くれてたのだな…
ずっと あの時から……
俺に 頼って欲しいと
思ってくれてたんだな… ずっと
「こんな事は…俺は、
君にしか頼めないがな…」
コツンとお互いの額を合わせると
「でも、杏寿郎。
私は、嬉しいです……とても」
そう言って
あげはがにっこりと
こちらに笑顔を向けて来て
その笑顔が
とても嬉しそうな笑顔だったから……
「やはり、俺は君には……頭が上がらないな。
君は……俺が嫌で仕方ない、醜い弱い俺を
何の躊躇いも、戸惑いもなく
受け入れてしまうのだから。
やはり…君は強いのだな」
彼女には俺には無い
また別の 強さを感じる
優しさと言う名の 強さだ…
「いいえ、そんな事はありませんよ、
私は弱いです、それも凄く、
……この肝心な時に来て。
彼を、三上透真を討てるのか、
幾度となく悩みました」
「あげは、君から話すのはダメだ。
それでは意味がない」
自分の三上透真への
いや 透真さんへの気持ちを
杏寿郎へ打ち明けようとしたのを
杏寿郎に止められてしまった
「それは、俺が自分から君にそれを、
……尋ねなければ意味がない。あげは、
聞かせて貰いたい……、君が愛した彼は、
あの刀鍛冶の里で会った方の彼ではないな?」
おかしいと ずっと思っていた
何故彼女が 彼の様な男を
愛したのか
伴侶に選んだのか
俺はずっと 内心納得が出来なかった
だが 宇髄から 彼の
本来の ”三上 透真”の話を聞いて