第18章 炎屋敷へ ※R-15
彼との口付けの記憶が
頭の中で蘇って来て
そうして貰いたい 気持ちが
自分の中で膨らんで来て…
確かに しばらく離れて居たのだし
口付けを交わしたい気持ちはあるけども
彼の言葉通りならばそれだけで
すませてはくれないようだし
「………だけなら」
小さな声で彼女が答えたので
聞き取り損ねてしまった
「あげは?」
聞き返すと
その頬が赤く染まっていたので
俺の質問への回答だったのは
安易に予想が出来てしまうが
きっと彼女の回答も
俺の想像した通りなのなら
「一回だけならと、君は言ったんだろう?」
「今は、の話ですよ?
今は……、一回だけ……なら」
随分と 今は一回と
強調されてしまったな
まぁ 彼女の言いたい事も
分からない事もないのだが……
「君は、もう少し、俺が理解できて
居るかと思ったが。違ったか?あの時、
あれだけ俺に抱かれて。俺が今まで、
君にそう言われて……一回で……
済んだ試しが……」
彼に求められて
それが 一回で済んだ事などなくて…
「知ってますよ!知ってるから、
言ってるんですってばっ。だからこそ、
一回って、一回だけって、言ってるんですっ、
んっ、あっ……杏寿郎っ」
きっと 一回では済まないんじゃないかって
それは 理解してるつもりだけども
でも 可能ならば…そうして貰いたいっ…
首筋に舌を這わされて
その舌で
ねっとりと首筋を舐め上げられると
思わず甘い声が漏れてしまう
「やぁ、んんっ、ダメっ…今はっ」
「嫌か?俺の耳には、嫌そうには
聞こえないがな…?」
刀鍛冶の里で何度も彼に抱かれた
私の身体は
元々 感じ易くてどうしようもないのに
彼にそうされると
彼に素直にすぐになってしまって
元々以上に
どうしようもない事になっていて
「嫌ッ…、言わないでっ…あぁんっ」
「嫌が多いな、君は。
いいとは、言ってくれないのか?あげは」
「そんなっ…、言わな、いっ、あぁ、ん」
それに わざとなのだろうか?
あの時の 初めて身体を重ねた時の
状況をわざとなぞっている様な……?
それにしても
久しぶりだからなのか
わからないけど
今日の杏寿郎は
いちいち いやらしい感じに
聞いて来る…んだけど?