第18章 炎屋敷へ ※R-15
恐らく しのぶちゃんの話から考えるに
人格が統合されて お互いの記憶を
共有する事が出来るようになって
透真の計画を知った 透真さんが
私の為に してくれた事
全て この時の為に
今の為に……
私に残してくれていた言葉……
そしてこの言葉を残してくれていた
意味を…… 彼の覚悟を
私も 覚悟しなくては 強く……
あげはがギュッと
自分の胸にその日記帳を抱きしめると
「ありがとう、透真さん。
……私はこれを、使えるようになるから」
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シーンと屋敷の中は静まり返っていた
が俺の心臓の辺りは
どうにもそわそわして落ち着かない
あげはが戻ったら
何から話そうかと
考え事をしていると
表に馬車が停まる音が聞こえて来て
運転手らしき男と
あげはが話している声がする
どうやら表から聞こえて来る
会話の内容から察するに
中の荷物を玄関まで運ぼうかと言う
算段をしているようだった
そのまま立ち上がると
杏寿郎は玄関へ向かった
「その心配なら、無用だ!
荷物なら、俺が運ぶからな!」
俺の顔を見てあげはの顔が
ぱっと明るくなる
「杏寿郎さんっ!ただいま、参りました。
あの、……遅くなってしまいましたか?」
「確かに聞いていた時刻よりは、
少し遅れたようにあるが。蝶屋敷での、
別れを惜しんでいたんだろう?」
「はい、それはそうなのですが。あの……、
杏寿郎さん?私、……知りませんでしたよ!
今になって、この様な形で、あの時の
処罰を受ける事になるなんてっ!」
ムッと口を尖らせながら
あげはが不満そうにしてそう言った
「ははははは。気を悪くしたのなら、謝るが。
君は、側で、ずっと見ていないと、
何をしでかすか分からんからな!ずっと、
俺の側に置いておく事にしたんだが、不服か?
不満があるのなら、……聞かない事もないが?」
馬車の中に積んでいた
風呂敷包みを3つ程杏寿郎に
手渡すとまだ持てる素振りだったので
更に2つ彼に持たせる
何度か往復するかと思ったけど……
荷物はそれなりに馬車に積んで
持てるだけ持って来たけど
一度で済んでしまった
杏寿郎さんひとりで
男の人3人分くらい
持って行っちゃったな