第18章 炎屋敷へ ※R-15
「薄々ではあるが、……彼女からそれを
感じさせる、節があったのは確かだ。
彼女自身は、もう彼に気持ちはないとは
言っていたが。きっとそれは、もうひとりの
彼に対しての言葉だろう。」
そう言って 杏寿郎が
一旦言葉を区切ると更に続けた
「そして、もう一人の彼に対する、感情は。
彼女自身が……自分の気持ちを偽って、
蓋をしてしまって居ただけの事だろうしな…」
「他の男を、
……忘れらんねぇ女。愛せんのかァ?」
不死川が本当に聞きたかったのは
どっちかと言うとこっちだろうな
自分に向けられた質問を
噛み締めながらそう考えていた
「不死川。それは、少々誤解があるな。
愛せるのかではない!現に俺は彼女を
愛しているし、彼女も俺を愛してくれている!
それは紛れもない事実だ!!」
腕組みをしながら
自信満々に杏寿郎が答えて来たので
不死川は呆気にとられてしまった
「煉獄」
「何だ?不死川」
「あれだァ、お前……、頭ん中。
……幸せな奴だな。聞いて、
呆れらァ。ごっそーさん」
「むっ?それは、俺は……褒められているのか?
少々、バカにされている気が
してならないのだが……」
「煉獄」
「今度は、何だ?不死川」
「まぁ、そこまで、頭ん中、めでてぇような。
お前だったら、……頼めそうだしよ」
「君に頼まれるまでもないがな!」
そう言って杏寿郎が
はははははははと大きな声で笑った
「アイツの事、頼んだ…ぜェ?」
じゃあなと
不死川が手を振って
去ろうとするのを杏寿郎が
引き留める
「待て!不死川。聞きたい事がある」
「あ?俺だって、暇じゃねぇ。
さっさと言いくされや」
「君は、いいのか?」
杏寿郎の質問に
ピタっと不死川が足を止めた
「あ?何がだァ?」
隊服のポケットに両手を突っ込んだままで
不死川が杏寿郎の聞きたい事が
掴み切れずに訝しい顔をしていた
「俺には、君が…彼と戦う理由が……、
掴み切れないのだが?」
俺の戦う理由だァ?
煉獄の言いたい事は
俺にも理解出来るが
胡蝶やそれこそ冨岡のクソヤローや
宇髄みたいな理由が
俺には無いのを 煉獄は気にしてるんだろう
そんな事を
俺みたいな奴に対して
心配する辺りが コイツも……
とんだ お人好しだわなァ