第18章 炎屋敷へ ※R-15
「離せないのなら、話せ。不死川!
俺に言いたい事が、あって来たんだろう?
君は。君の言いたい事は何だ?不死川っ!
話せと言っている!」
それまでの腑抜けて
魂が抜けた抜け殻みたいな
目をしていた杏寿郎の目が
真っすぐにこちらを捉えていて
グッと胸倉を掴んでいた
不死川の腕を杏寿郎が握ると
ギリギリと凄い力で逆に
手首を握りしめられてしまう
「俺ァなぁ、煉獄ゥ。お前のその、
腐った根性をォ、
叩き直しに来てやったんだァ!」
「確かに君の言葉は正しい。俺は腑抜けていた。
だが、もう心配には及ばない!君の目を見て、
俺も自分をようやく、取り戻した気がする。
君には感謝するしかないな!不死川、
すまなかったな!助かったぞ!礼を言う!!」
「はぁ?お前っ、バカ言ってんじゃねぇ。
クソったれがァア!お前の事、ぶん殴りに
来た奴に、礼言ってんじゃねぇよ!」
そう言って
こっちをじっと見ている
杏寿郎の目はいつもの様に
熱い炎が奥底で揺れていて
「殴る?君は俺を殴りに来たのか?」
「そうだつったら、どうだってんだァ?」
「それは、宇髄と同じ理由か?
俺はもう、自分を取り戻したが、それでもか?」
「はぁ?何を抜かしてやがんだぁ?」
じっとこちらを
杏寿郎の視線が見据えていて
こっちが襟首を掴んでるてぇのに
何故か優位に立っている
気が全然しねぇのは
気のせいじゃねぇ…な
「それとも、君は、宇髄とは別の理由で…。
俺を殴りにでも来たのか?」
「そうだと、言ったら。どうするつもりだァ?
黙って俺に、殴られでもするつもりかァ?
煉獄よォ」
「いや、それはしない」
「どう言う意味だァ?」
「何故か聞きたいのか?不死川、
俺には君に、殴られる理由がないからだ!」
「ああ、そうかいそうかいっ。
だがなぁ、俺にはあるんだよォ?
お前を殴りたい理由がなァ!」
「俺が、あげはを……彼女を、
君から奪い取ったとでも言いたいのか?君は」
「…………」
不死川からの返事はなかった
その代わりに
こちらを真っすぐに見つめる
不死川からの視線に杏寿郎は
自分の視線を合わせた
見つめ合ったままで
数秒 数十秒
時間が過ぎて行く