第18章 炎屋敷へ ※R-15
ガラガラと
屋敷の玄関が開いたので
あげはが戻って来たのかと
杏寿郎が玄関へ向かうと
そこに立っていたのは
あげは……ではなくて
いや おかしいとは
思っていた あげはなら
きっと何か
声を掛けてから入って来るだろう
「よォ、煉獄…、時間あっかァ?」
何の連絡もなしに
声もかけずに
炎屋敷へ入って来たのは
不死川だった
「時間か、あるにはあるが。何か用か?不死川」
「アイツは?」
「あげはなら、まだ……戻っては来てないが」
あげはが留守だと聞いて
不死川の表情が若干和らぐが
殺気に似た気配を不死川から感じて
体が自然と身構えてしまう
「そぉかい。
そらァ、……いい事を聞いたぜェ!」
ビュンっ空を切る音が聞こえて
不死川の蹴りが自分へと飛んで来るのが見えて
それを顔の横の辺りで 腕で防ぐと
目の前にいる
不死川の顔を睨みつける
不意打ちとは言えど
受け損ねたら大惨事だな これは
不意打ちなのは 頂けないが
素晴らしい蹴りだ 流石 不死川だな!
「どう言うつもりだ!不死川っ!
隊員同士の私闘はご法度だぞっ!!
それも、相手に何も告げずに蹴りかかるなど、
それこそ言語道断だ!!」
「オイオイっ、
随分な甘ちゃんだなァ。煉獄さんよォ」
「だが、……素晴らしい蹴りだった。
流石は、不死川だな!だが、不意打ちは良くない!」
「だったら、もう、不意打ちでもねぇだろうがァ!」
ガッっと不死川が杏寿郎の襟首を
掴んで体を持ち上げるかのように
ぐっと強い力で引き寄せられる
不死川に襟首を掴まれながら
杏寿郎は考えていた
だが…何故 不死川は俺を
煉獄さんと呼ぶんだ?
いつもなら 煉獄 の筈だが……
しげしげと不死川が
杏寿郎の顔を至近距離で
眺めていて
「それになんだァ?お前の、
そのしけた面はよォ、腑抜けてんのかァ?
冗談も大概にしくされぇ。そんなんで…
そんな事で、お前はァ、アイツをっ……」
グッと自分の顔の前に
俺の顔を更に引き寄せて来る
お互いの鼻先が掠めそうな距離だ
「お前は…、アイツを…」
「し、不死川っ…離せ、離せないと言うのなら…」
「ああん?言うならどうだって言いてぇんだよ?」