第3章 琥珀糖の
しのぶの言葉に炭治郎は首を傾げた
このお菓子は誰かのために
あげはさんが作っていて
それを明日渡しに行くんだろうけど
どうして その格好をしのぶさんが
決めたりするんだろ?
「えぇ?いつもの格好でいいよ」
「ダメです、あげはさんに似合いそうなのを、
用意して来たんですから
。苦情は受け付けません」
何だろうなぁ?
しのぶさんから一つの言葉で表せない
複雑な感情の匂いがするなぁ
と感じた炭治郎であった
その頃
杏寿郎の姿は東京駅にあった
短い期間に 無限列車と呼ばれる 汽車で
40人以上が 行方不明になっている
鬼の仕業なのだとしたら
夜に事は起こるはずだ
一重に無限列車と言っても 同じ区間で
複数台存在しているようで
その中のどれか一つが問題の車両なのか
それともその全てに問題があるのか
「乗って、一台ずつ当たるより、他ないか…」
“当たり”を引くまで
乗り続けるよりなさそうだ
その日
俺は午後の無限列車に乗り込み
深夜の最終便まで列車に揺られたが
特に別段変わった様子もなく
その日は東京駅のすぐそばに宿を取って
休む事にした
次の日
あげははしのぶに言われた通りに
カーラーで髪を巻いて寝たので
長い艶やかな藤色の髪は
しなやかなウェーブがかかっていた
「うん、良い感じですね!では、これに
着替えて下さい」
「って、これ、袴じゃないの」
「これなら、普段あげはさんが着てる
矢絣の羽織を着物の代わりにして
着ても違和感ありませんし、
荷物も減らせます」
それは確かにそうだけど
着物を着て いつもの矢絣を
羽織って行くのかとばかり
矢絣の羽織を着物代わりに着て袴つけるのか
「こっちの隊服なら、かさばりませんし、
荷物になりません」
しのぶの思う壺になっている気がして
仕方ないのだが
しのぶに言われるままに差し出された
隊服を荷物の包みに入れた
着物代わりに紫と白の矢絣の羽織を着て
海老茶色の袴に黒いタイツを履いて
黒のブーツを合わせる
髪の毛をアレンジの効いた
ハーフアップにしのぶに結われる
姿見に映る 自分の姿を見たあげはが
「ちょ、ちょっと、しのぶちゃんっ」
「何ですか?とてもお似合いですよ」
と両手を合わせてにっこりと微笑んだ
有無を言わさぬ笑顔で