第17章 理由 後編
善逸は炭治郎の身体に隠れながら
宇髄への不満を漏らした
「そこの黄色いの!お前。……名前は?」
「俺っ?俺は、我妻善逸だけどもっ。
俺の名前が、どうしたって言う訳なの?」
「ちょっと、顔貸せ…話したい事がある。
お前……、耳良いだろ?」
と普通に言った後に
小さな声で善逸にしか聞こえない様にして
宇髄が何かを善逸に言った
善逸の匂いが……変わった?
それまでの宇髄さんへの不快感の
匂いが善逸からしてたのに
その匂いが消えた……どうしてなんだ?
「炭治郎…、俺、ちょっと……この人と
話してくるから。後で、追いつくから、
先行ってて貰っていーい?」
「おう、行くぞ。健太郎っ」
「ああ、分かった。
善逸。先に行ってるからな……」
善逸の様子を気にする素振りもない
伊之助とは対照的に炭治郎は
善逸の事を気に掛けながらも
その言葉通りに
先に蝶屋敷へと向かう事にした
その二人が離れて行くのを
宇髄は目ではなく耳で見計らっていて
会話が聞こえない距離になってから
ようやく話を始めた
「悪い事は言わない、お前等は
理由がないんだ。この戦いに
参加する、必要ないんじゃないのか?
お前等にどんな理由があろうと、
俺ほどの理由じゃねぇだろ?どうせ、
お前等みたいなひよっこの理由なんて、
地味なもんだろ?止めとけ、……死ぬぞ?」
からかってる訳ではないのは
俺の耳なら分かる
嘘を言ってるんじゃないって事くらいは
「どうして、俺なのさっ。
炭治郎じゃなくっていいのかよ?」
「別に。俺は……、
お前に聞きたいかったからな」
「もしかして…、胡蝶さんに会ったとか?」
「ああ、派手に正解だ。只のバカかと思ったが、
そうでもねぇか。胡蝶から話を聞いてきた。
だから、俺はそれをお前に話に来た、
確認したいのもあったし、な……」
この人が俺に確認したい事って
何なのだろうか?
この人は柱で 俺は只の隊士なのに
「確認…。それって一体何の、確認な訳?」
「我妻、お前……、これが済んでからでいい。
お前は、俺の所へ来い。俺が鍛え直してやる」
「へえぇ?何でッ、俺?どう言う事?」
宇髄の言葉に善逸が裏返ったような
声を出してしまった