第17章 理由 後編
グイっと自分の身体から
しのぶの身体を引き剝がして
「結構です。そんな物に頼らなくても
大丈夫だからっ。それにきっと……、夜まで
……待てないかもしれないし?」
そう 頬を染めて
恥ずかしそうに声を顰める様は
女の私ですら
あげはさんに
いけない感情を覚えてしまいそうで
「それは、あげはさんがですか?
それとも……煉獄さんが…ですか?」
「そ、それは……って言う訳、
ないでしょ…う?」
ましてや 男性で
それもあげはさんに
好意を寄せに寄せている
煉獄さんならば……
この顔を見ただけで
どうにでもなってしまいそうですし?
夜まで待つどころか
その場でって…事にになりそうですし
まぁ これは私の野暮な推測ですけども
煉獄さんは タフそうですし?
「むしろ…あるんだったら。
そうなりすぎない方が…欲しいんだけど?」
そうしのぶの耳に
あげはが耳打ちして来て
こっちが顔が赤くなってしまった
「まぁ!そうだったんですね?
それは安心しました。でもそれはこちらが、
お断りします。だって、そんな物を
あげはさんに渡したと知れたら、私が、
煉獄さんに怒られてしまいますから、ふふふ」
「ちょっと!しのぶちゃんは一体、
誰の味方な訳?」
「あげはさんと、煉獄さんのーと
お答えしたい所ですが。
今は煉獄さんでしょうか?」
「もう!しのぶちゃんっ?」
「それより、お急ぎになった方が、
良いのでは?
お時間が勿体ないですよ?」
結局
悔しいけど
しのぶちゃんにいい様に
弄ばれてしまった あげはであった
しのぶの研究室を後にして
あげはは自室へ戻った
しのぶが馬車を手配してくれているから
その馬車に乗せられる範囲で
必要な身の回りの物を風呂敷に包んでいく
「後は、これと……これも居るかな?
あ、そうだ」
机の上に置いていた
杏寿郎から贈られた
琥珀糖の入った瓶をあげはが手に取ると
その中からひとつ
宝石の様な輝きの琥珀糖を取り出して
電気の下にかざすと
キラキラと本物の宝石の様に
琥珀糖が輝いていて
綺麗……だな
本当に 綺麗