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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第17章 理由 後編


それをカナエちゃんが
私に言えなかったのは
カナエちゃんに負い目があったからだ


自分の中で驚くほどに
ふつふつと湧き上がる
激しい怒りの感情を

あげはは感じていた
恨みにも似た 憤りの様な物だ…


でも その感情のお陰で

私の中の迷いが 消えた


私はずっと彼が元に
あの優しかった透真さんに戻るのなら

それを待ちたいと
その術を探したいとそう思っていた

希望があるのなら 信じたいと



刀鍛冶の里で
鉄珍に言われた言葉を
あげはは思い返していた


ー たった1の為に、
残りの99を許すんか? ー


許したいと思っていた
そのたった1を 取り戻したいとも

でも 今は その残りの99を許せない
感情が自分の中に渦巻いていて


私にだって分かっていた
顔も声も口調も同じなのに

彼がどんどん 違う何かに
別の彼ではない誰かに


変わって行く様を

知って居た

ずっと 見ていた


わかっていた でも もう
そんな事を望んでる場合じゃない!


私は…

私は…


彼を……討つ


カナエちゃんの為にも
しのぶちゃんの為にも

義勇の為にも

そして 他の誰でもない
自分自身の為に


彼を討つ!


どうしてなんだろうって
ずっと考えていた

鬼になって日輪刀に触れる事は
自分の身を焼くような
痛みがあるはずだ

日輪刀には陽光と同じ
効果があるのだから…

彼がそんな
身を焼くような思いをしてまで
刀鍛冶の里へ
あの刀を届けた理由は……?


義勇にあの刀を託した時
そこまでの確証は私にはなかった
でも しのぶちゃんの話を聞いて

それが私の中で
確信に変わった…


彼なら 
私の良く知っている
透真さんならそう思ってるだろうから


透真さんがそれを望んでるのだと


「しのぶ」

名前を呼ばれて
しのぶがあげはの顔を見た


「あげは……姉、さん?」


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