第3章 琥珀糖の
運ばれてきたハンバーグをフォークに
刺して一口食べると宇髄が話を始めた
「アイツが、自分を大事にしねぇから。
俺が、大事にしてやろーって訳?わかる?」
宇髄の言葉に杏寿郎が顔を顰めた
「俺は、嫁が世界で一番大事なの!」
「それは、わかるが。
君には3人いるだろう?」
「もう、3人いるし、4人でも
変わらねぇだろ?
今更1人増えても、問題ねぇ」
いや あるだろ?
そこは問題にならないのか?
全く持って 理解に苦しむ
宇髄と俺とでは
物事の価値基準がここまでに違うのか…
俺なら嫁は…妻にするのは 1人でいい
「それに、アイツなら俺の嫁も
気にいるハズだしな」
「君の話は、理解に苦しむ…」
食べ慣れない洋食の味は
美味しいとは感じるが
宇髄の意図の読みきれない話のせいで
集中できない
「で。お前はどーなの?」
「俺が、どうした?」
「煉獄、お前はアイツに気があんの?
なきゃあんな事もしないし、
こんな事俺に、
聞くとも思えねぇーんだけども」
ニヤニヤしながら宇髄が
杏寿郎の顔を見ていた
「なんとでも言えばいい」
「あっれー?そんな感じ?
まあ、お前がそう言うんなら、
今の所はそれでもいいけどな」
宇髄は上機嫌な様子で
洋食を食べ進めていた
胡蝶も胡蝶で食えないが
宇髄も宇髄で 食えない奴だ
そう思った杏寿郎であった
あげはが蝶屋敷の台所に
大きな荷物を抱えて
入って行くのが見えて
すみ・きよ・なほ の3人が
ワクワクしながら中に入って来た
「あげは様、何かお作りになるのですか?」
「ですか?」
「お手伝いしましょか?」
「しましょうか?」
エプロンを付けて
念入りに手洗いをしながら
あげはが答える
「ごめんね、3人とも。
これは私がしないといけないんだ。
でも、多めに作るつもりだから、
出来たらみんなで食べようね」
あげはの言葉を聞いて
3人の顔がパァッと明るくなる
「あげはさん、いつも忙しいから
お菓子久しぶりだね」
「うんうん。久しぶり」
「あげは様のお菓子、美味しいもんね」
しばらくすると台所から甘い匂いが漂ってくる