第3章 琥珀糖の
彼女の事を考えていると
どうにも 自分の胸の中が騒がしい
彼女と宇髄の関係や
彼女と不死川の関係も
あれやこれやと考えていると
苛立ちを覚えてしまうのだ…
考えても仕方ない事を考えるな
今までもずっとそうして
考えないようにしていたのに
考えまいと思っていても…
また 考えてしまっている
当の本人に確認する訳にも行かないし
俺がそれを許される間柄でもないのに
気がつけば 彼女の事を
考えてしまっている自分がいる
「おっ!ド派手な奴が居ると思やぁ、
煉獄じゃねぇーか、相変わらず派手な
頭してんなぁ」
街を歩く人より頭一つ以上飛び抜けて
目立っている宇髄の姿があった
「誰かと、思えば宇髄か」
「ここで会ったのも、偶然って事で。
飯でもどうよ?」
「それは、君のおごりか?」
杏寿郎の食べる量は宇髄も知っていたが
自分から声を掛けたのもあるし
柱としても自分の方が先輩だし
年齢的にも目上と言うこともあり
奢る…しかないな こりゃと思った
「お前、めっちゃ、派手に食うだろ?
いや、それはもう、派手派手にな!」
「それより、何にするんだ?蕎麦か?
丼か?カレーか?」
「あそこにしよう。派手に決まりだ」
そう言って宇髄が両手で指さした先を見る
「洋食屋か」
「ああ、美味いって評判だからな。行くぞ」
評判の店と言うが
平日のオープンしてすぐで
スムーズに席に案内された
情報通の宇髄が美味いと言っているので
味は安心していいのだろう
適当にメニューから注文して
水を飲んでいる宇髄に声をかける
「宇髄、一つ、尋ねたいのだが…」
「それは、俺がどうして、
アイツを嫁にしたがるかって理由?」
こっちが聞く前に先を越されてしまったか
頭のキレる男だ 全く 話が早い
だがだからと言って
宇髄の言葉をそのまま鵜呑みにも出来んな
この男が 簡単に本心をバラすような
男ではないのは承知してる…が
「前に、彼女に求婚していただろう?
君には妻が3人もいるのに何故だ?」
宇髄の返答を待たずに 杏寿郎が続ける
「君は何故、彼女を必要とする?」
質問に質問を更に足しても
宇髄は気にも留める様子はなかった