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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第16章 理由 前編


こんな姿…杏寿郎さんに
見せらせない…

自分がまだ こんなにも
彼を 心の奥底で想っていて

こんなにも
この刀を……

彼が鬼殺隊に 柱として居た証を

手放したくないとさえ
…思っているなんて


私は ズルい
どうしようもなく ズルい

そんな気持ちがあるって事も
彼は何も 知らないのだから

蜜璃ちゃんに言われた言葉を思い出す
ちゃんと話した方がいいと言われたけど


杏寿郎さんはそれを

私のそんな言葉を
聞きたいと…思ってるのだろうか?

本心を聞かせて欲しいと
言われたことがあるが
きっとそれは
こんな事を聞きたいって意味じゃなくて


でも 頼って欲しいと
言ってくれたのに?


そう 言ってくれる彼に
何も告げないのは……
裏切っているのと…同じ事…だよね?

もしかしたら 
何も聞いて来ないのは

私が話すのを
待ってくれているのかも知れないし…

私は次に彼に会う時
どんな顔をして会えばいいのだろうか?

自分の中にある杏寿郎さんへの想いに
偽りがあった訳じゃない
彼の事が好きだと言う事も
愛していると言う事も
一緒に居たいと 生きたいと思ってるのも

私の中の紛れもない事実で

でも それと同時に……
彼を…透真さんを
斬る事に 討つことに対して

自分の中で……それをしたくないと

思っている気持ちがある事も



紛れもない 事実なのだ



迷っている

私は

迷っているんだ…まだ

心の迷いは剣も迷わせる


迷っている剣じゃ
彼の頸は断てない………

迷っていちゃ…ダメなのに


どうして こんな大事な時に私は
こんなにも 弱いんだろう…か?

杏寿郎さんは私の事
強いって言ってくれたのに

やっぱり私は 迷ってばっかりで
立ち止まってばっかりで
先延ばしに先延ばしにして来て

もう これ以上
先に延ばせない所に来て


今度は こんなにも 心が乱れて
迷ってしまっている

この刀が私の手元にあるから
迷ってしまうのだろうか?
彼を酷く思い出してしまうから……


でも やっぱり 私は…
あのお日様の様に
穏やかに笑う


彼の顔を思い出してしまっていた




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