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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第16章 理由 前編




水の声を聞く……

あの時 透真は
ううん 透真さんは 私にそう言った

水の声を聞けば…
水を意のままに操れるって事……
だったら 鏡だって
私の鏡だって その水が元になってるのだ

その理屈は きっと 通じるはず
でも 丁度良かった

炎屋敷に向かう前に
もう一人 出会いたい人が居たから

自分の刀の手入れはしたが

もう1振りの刀の手入れもしておこうと
あげはが風呂敷に包んだままの
日輪刀を荷物の中から取り出して
その包みを解いた

亀甲を模した鍔
彼の 透真さんの……日輪刀

あげはが自分の手の中にある
その日輪刀を静かに眺めた

ずっと 憧れていた
これを振る 彼の姿に


ずっと 追いかけるのだと
信じていた……

これを握って
私の前を歩く

貴方の後姿を

貴方の背中を

ずっと追いかけていたのに…


疑う事なんて
迷う事なんて 無かった……


貴方は 限りなく 強かったから
どんな鬼にも 負けないって

信じて
疑う事なんてなかったから


そっとあげはが
鞘の上からその刀を撫でた


この刀は……明日になったら
義勇に…託す つもりでいる

だから 今だけ……
この刀が私の手元を離れる前に…


少しだけ……今だけでいい


ギュッとあげはが
その日輪刀を自分の胸に抱きしめた


「透真っ…さん、……
透真さ、ん……、私は……、私はっ」


自分の目から
涙が零れて 膝の上に


ポトリと落ちた

ポトリ

ポトリ……と


落ちて行く

寝間着の膝の部分に
水の跡が出来て行く


「貴方を……、私は……
斬らなくちゃ…いけないの?透真……さん」

自分でも……それを望んでいたから
自分の手で
全てに決着を付けたいと願ってた筈なのに

それなのに………っ

そうしたいと ずっと望んでいて
その為に 私はここに居るのに

鬼殺隊に残る事にしたのに……


彼が鬼になってしまったのなら

自分の手で…彼を斬りたいと


そう 望んでいたのは……


「全部……嘘だったの……?」



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