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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第16章 理由 前編


撃ち込むと言うのだから
この薬液を撃ち込む場所は
限られていると言う事だ

「そこに……か?」

義勇がシャーカステンにセットされている
レントゲン写真の方へ目を向けながら返した

「そうです。私も…可能ならそうします。
あげはさんにも、同じ事をお願いするつもりです。
私達、3人の中の誰かが……
それが出来れば、もしかすると…」


「戻れるのか…?」

義勇の言葉にしのぶが目を伏せる

「いえ、彼は鬼ですから…恐らくは…」


一時的に…と言う事か


義勇が机の上に置かれた
その薬液の入った小瓶を手に取ると


「そうか、だが……それを聞いて安心した」

「え?冨岡…さん?」

「でないと、煉獄が……、気の毒だからな」

意外な義勇の言葉に
しのぶが驚いたのか
目をぱちくりとさせて口に手を当てたまま


「意外でした。冨岡さんも……
そんな事を考えられるのですね」

「俺は、お前に……
どう思われているのか、知らんが…胡蝶」

いつにないくらいに
真っすぐに射抜くような視線を
義勇に向けられているのに気が付いた

「冨岡…さん?」

「お前は、いいのか?
胡蝶……それで、いいのか?」

「冨岡さんに、心配して頂かずともっ、
私は大丈夫でっ!?」


スッと後ろから
義勇が包むようにして
自分の体を抱きしめていて


「ちょっ、冨岡さんっ!何をっ……」

「何も言わなくていい…、何も言うな」


「冨岡……さん?」


振り払おうとすれば
振り払えたし


これが どういう意味の
抱擁なのかは

私にも 分かっていたから

変な意味がないのは


分かっていたから


不安なのは 
迷っているのは


揺らいでいるのは


私だけでなく……
この人もなのだから……


きっと でも 私や
冨岡さんが 揺れている以上に


あげはさんの心は…… 
揺れているのではないだろうか?


「今だけ……です」

「ああ、今だけ……だ」


今だけ……か

そして もうちょっとどうにも
こうまで しておいて

冨岡さんは 鈍い…
そして ちょっとズルいと


密かにしのぶは考えていた



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