第15章 それぞれの いとま
『水の呼吸は、変幻自在の呼吸だからね。
君の鏡の様な、物にも姿を変えられるし、
僕の作った人形の様にも出来る』
『コツとか……あるんですか?』
うーんと透真が考えて
『コツか……、あんまり考えた事ないけど、
そうだなぁ……、声を…聞く事かな?』
『声?』
『そ、声ね。水の声だよ……』
あげはちゃんっと
自分の名前を呼ぶ声が
聞こえて あげはがハッと
我に返った
「あげはちゃん、あげはちゃんっ!
起きてたの?大丈夫?眠れないとか?」
蜜璃があげはの様子に異変を感じて
声を掛けて来る
「ごめん、蜜璃ちゃん……大丈夫…だから、
ちょっと、昔の事を思い返してた…だけ」
そっと蜜璃があげはの手に自分の手を添えて
ギュッとその手を握った
「ありがとう、蜜璃ちゃん……大丈夫だから」
「あげはちゃん…」
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次の日の朝
炭治郎は夜明けと共に目を覚ました
理由は煉獄さんが朝稽古を付けてくれると
言っていたからだ
「こら、善逸、伊之助。起きないか!
朝だぞ。煉獄さんを、お待たせする訳には
行かないからな。用意するんだ」
まだ布団から出てこない
善逸と伊之助を炭治郎が布団から
引きずり出した
「ほーら、二人共、起きろっ!」
「もう、まだ早いよ炭治郎、寝かせてくれよぉ~」
と眠たそうな目をこすりながら
善逸が炭治郎に言った
「ダメだ!起きるんだ。で
ないと……頭突きするからな!」
「ああっん?頭突きだと!起きたわ!
起きたからな!俺様は、
頭突きはいらねぇぜ!!当然っ!!」
起き抜けから伊之助は伊之助で
絶好調の様だった
稽古着に着替えて 炭治郎が
中庭に出ると
そこにはすでに杏寿郎の姿があって
素振りをもくもくとしていた
やっぱり 煉獄さんみたいに強くて
柱をしている様な人でも
ちゃんと素振りして、稽古したりするのか
と炭治郎は感心してしまった
「煉獄さんっ!おはようございますっ!」
「うむ、おはよう。竈門少年だけなのか?」
「今、伊之助が
善逸を起こしてくれていますので」
「そうか、なら、先に君も素振りをするといい」