第15章 それぞれの いとま
こんな風に言われてしまっては
どっちが年上なのか分からなくなる程
この 三上 透真と言う人は
時折 子供みたいな事を言い出す人だった
『でも、こうしてずっと
お邪魔させて貰ってますから、
半分と言うか、実質は
継子みたいな物じゃないですかね?』
そう 私は 柱になった後も
彼に教えを乞うていたのだ
彼に教えて貰って編み出したのはいいが
鏡の呼吸は
まだまだ呼吸として不完全な物で
この時の私はまだ
壱の型の 鏡面と
弐の型の 鏡面反転しか使えず
戦闘は水の呼吸と
雷の呼吸に頼るしかなかった
『でもさ、僕も驚いたんだけど……、
あげはちゃんは元々、水の呼吸の育手に
教えて貰って、水の呼吸を使ってるでしょ?
なのになんであの時、教えて貰ってない、
雷の呼吸が使えたのかな?』
今なら分かっている事なのだが
まだ その時は
型として確立しては居なかったが
私は 無意識に
参の型の 鏡眼を発動している事があり
雷の呼吸は
この鏡眼を通じて 体得していた
『あのっ、透真さん!
今日も……稽古を…お付け願えますか?』
『こんなずっと、稽古して貰いに来るんだったら、
うちに住めばいいんじゃないの?』
うちに住めば…いいだなんてそんな
いや でも この透真さんの事だから
そう言った意味なんてなくて
単に通うよりも いいんじゃないって思って
言ってくれてるんだろうけども……
『ええ!でも、そんな、ご迷惑になって…』
『今だって、毎日の様に来てるのに?』
『そ、それは……その』
透真に本当の事を言われてしまって
あげはが言葉を濁した
『まぁ、今は無理でも、考えて置いてくれる?
……うーん、そうだなぁ、
今日は、面白い物を……見せてあげよっか?』
『面白い……、物…ですか』
『見たい?』
そう言って
笑う その穏やかな笑顔が
私は 大好きだったんだ……
彼の 透真さんの笑顔が……
『み、見たいです!』
あげはが声を大きくして返事をすると
『あはははは、素直でよろしい。
本当に、あげはちゃんは可愛いね』
可愛いと言われて
ドキッと胸が跳ねた
でもその表情からは そんな意味での
可愛いじゃないって言うのは
私にも分かっていて……