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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第15章 それぞれの いとま



「しのぶ様……」

「どうしました?すみ」

しのぶが廊下を歩いていると
すみに声を掛けられた

「これを。偶然……、普段は触らない倉庫の
片づけをしていて見つけたのですが……」

と古びた手紙をしのぶへ差し出した

私宛の手紙……

その封筒を裏返すと
書いたのは自分の姉である
胡蝶カナエだった

この前 あの倉庫の代わりにしていた
ふたり部屋を使うのに
荷物を動かしたから

この手紙が……出て来たんでしょうか?

カサッ…
しのぶがその手紙に目を通すと

「しのぶ様?」

その顔に普段のしのぶが見せない
焦りの様な物が見えて

心配そうにすみが声を掛けて来た


「この間、あげはさん達が使っていた、
2人部屋の鍵は…どこにあります?」

「え、でももう、あの部屋は……倉庫に」

もう使う事がないだろうと
一時的に動かした荷物をもう戻したと言うのに

あんな普段使わない病室に
しのぶ様は何の用事があるのだろうか?

「鍵はいつもの、…詰所の鍵置き場に…」

「そうですか……」


そう言って廊下を歩いていく
しのぶの後姿をすみが見送る


「すみちゃん、どうしたの?」
すみの様子がおかしいのを気にして
なほがすみに声を掛けて来た
「なほちゃんっ、…私、……あの手紙…」
「手紙って、昨日荷物を整理した時に見つけた、
カナエ様からの手紙の事?」

なほはすみと共に
昨日荷物の整理をしていたので
その手紙の存在を知っていた

「あの手紙を見たら、
しのぶ様の表情が変わって……。
なほちゃん、……あの手紙、渡さない方が…
良かったのかな?」

「でも、カナエ様が、しのぶ様に
残した手紙だもの。渡していい物だよ。きっと」
そう言ってギュッとなほがすみの手を握った


詰所にはアオイが居て
慌ててしのぶが入って来たので
重症の急患でも来たのかと思って
思わず身構えてしまったが

しのぶはそんなアオイの姿が目には
入っていない様子で
鍵を掛けて保管している所から
お目当ての鍵を取ると
そのまま詰所を出て行ってしまった

「………しのぶ…様」

その様子がいつものしのぶと違っているのは
アオイの目から見ても明らかで

しのぶの後を追ってアオイも詰所を出ると
廊下ですみとなほにぶつかりそうになる




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