第15章 それぞれの いとま
何となく 落ち込んでいるみたいだから
玄人の女に任せて
それこそ 慰めて貰ったらいいかと
声を掛けてみたんだけども……
「慰めて……貰いたい気分だったり、
気のせい?どうする?」
変な所で
この宇髄とか言う男は
俺に兄貴面して来るし
変な所で 鋭いから
いけ好かねぇ奴ではあるが……
「行かねぇでもねぇ」
不死川が返事をして
「へ、来んの?珍しっ」
「たまたまだァ」
と小さい声で不死川が言って
不死川の言葉に宇髄が
一瞬目を見開いて ニヤッと笑うと
「俺さ、不死川の好みに合いそうな、
妓、知ってるからさ。お兄さんに、任せなさい!」
得意げに宇髄が胸を叩いたので
不死川は期待も大してせずに
宇髄に付いていく事にした
宇髄の後に続いて大門をくぐると
まだ時間も早いせいか
人の流れもまばらな吉原の通りを歩く
吉原……か
相変わらず 白粉ときな臭い所だな
他の隊士達の話には良く出て来るが
不死川は商売女は興味がないので
あまりここへ足を運ぶ事はなかったし
ここの白粉くさい女は
正直苦手だった
大通りに面した
大見世ではなくて
宇髄が裏の通りに面した
小さい見世の集まっている辺りに入って
同じ吉原でも
この辺は閑散としてんだなと
不死川が周囲を見回しながら
宇髄の背中を追いかける
どこへ行くのかと思ったら
一軒の小見世の前で足を止めた
小さい店にも格子はある
宇髄が小さく 顎でしゃくって
その格子の奥にいる遊女を見る様に促した
「この小見世の一番人気だ、
元は別の大見世に居たらしいが、
……太夫と揉めたらしいって話だ」
そりゃ また
随分と きな臭ぇ 女じゃねぇか
宇髄に促されて
その遊女の顔を見てみると
確かにこんな小さい見世には
につかわしくないような美人だ
それもただの美人じゃねぇし
恨めしい視線を不死川が宇髄に向けていて
「宇髄っ!てめェ、ふざけやがってぇ……」
「え、俺……間違えてる?似てない?アイツに」
不死川の お眼鏡に叶うと思って
紹介してはみたが違っていたのだろうか?
髪の色や目の色こそは違うが
顔の作りがアイツに似ていた
ふんわりとした雰囲気と
どこか儚げな空気を纏っている辺りも
悔しいが似てる
アイツ……に だ