第15章 それぞれの いとま
「蜜璃ちゃん、
私、……ダメな女なのかもしれない」
あげはが助けを求めるようにして
蜜璃を潤んだ瞳で見つめて言った
なっ 何て顔してるの?
あげはちゃんっ!
私は女だからいいけど
こんな顔で見つめられたら
男の人なら ひとたまりもないわっ!
可愛いなんて言葉じゃ足りないもの…
可愛すぎるわ!
蜜璃は前に杏寿郎に
相談された時に”悪い女”なのではと
あげはの事とは知らなかったが
言ってしまった事を思い出してしまって
もしかしたら あげはちゃんは
無意識に……相手をその気にさせちゃう感じの
悪い女の子なのかも?
って……思ってしまわないでもないけど
「そ、そんな事ないわ!あげはちゃん……ね?」
「でも、不死川君にも、
杏寿郎さんにも…悪い事してるし」
「ああ。でも、それって、煉獄さんが言ってた。
不死川さんも、
あげはちゃんに求婚してたって事?」
蜜璃の言葉にあげはがきょとんとして
「え?不死川君には、
求婚されたりはしてないけど。
継子にはならないかって、言われはしたけど……。
求婚して来てたのは、宇随さんだけど?」
不死川さんが……あげはちゃんを
自分の継子にする?
それって あり得ない話よね?
だって あげはちゃんは元・柱なんだし
それって それって
不死川さんは あげはちゃんを
自分の近くに
置いて置きたかったって事じゃない?
自分の手元に置いて
側から離したくないって
言われてるのと同じじゃない?
それって 不死川さんが
あげはちゃんの事が………
「あげはちゃんっ!
それって、愛の告白じゃないかしら?」
「え?違うよ、継子にならないかって、話だよ?」
当の本人は
その不死川の言葉に込められていた
意味は全く分かってないようだったので
蜜璃はあげはは
天然小悪魔なのだと…理解したのだった
甘露寺の屋敷から
不死川はしばらく歩いて
大通りの人の流れの中を歩いていた
蜂蜜の瓶を抱えている
自分の右手の親指を眺める
さっき あげはの唇に触れた指だ
俺は 一体何をしようとしてたんだ さっき
もう アイツは 煉獄と婚約したってぇのに
俺はさっき
アイツに……口付けようと……