第15章 それぞれの いとま
目の前の不死川が
私を指差したままで 固まってて
口をパクパクとさせていて
「し、し、不死川君っ!何で?ここに?」
どうしてここに俺が居るのかと
言いたげにあげはが聞いて来て
「俺は蜂蜜を買いに来ただけだっつーの!
お前こそ、何でこんな所で、
んな、恰好してんだァ?」
「いや、……これには、深い訳があって…」
「あん?訳だァ?……んな恰好してっと、
煉獄に怒られてもしんねぇぞ?」
怒られる?
杏寿郎さんに?これを着てると?
「え?どうして怒られるの?
蜜璃ちゃんだってしてるのに?」
こんな格好と言われても……なぁ
これは 一応こんなんだけども
曲がりなりにも 鬼殺隊の隊服のはずだ
それにそんな事を言っている
不死川だって 前が全開の隊服なのに?
ちらちらとこっちを見ては
不死川が視線を逸らせる
「どこ見てるの?」
「んな、事、聞くんじゃねぇよ!
出してる方が悪いんだろーが!
見ちまうだろォがよ!普通。察しろォ」
「だったら、不死川さんだってお揃いだわ。
不死川さんも、出てるもの!ね?」
と蜂蜜の瓶を抱えて
蜜璃が戻ってくる
一瓶とは言ったが
漬物でもつけるのかという位の
大きさの大きな瓶を蜜璃が抱えていて
「でかすぎんだろーがよ!!」
と不死川が言ったので
「あげはちゃんの方が、ちょっとばっかし
大きいものねー、ね?」
と蜜璃があげはに確認するかのように言って
「そんな事ないってば、同じくらいだって」
「俺が言ってんのは、
その蜂蜜の瓶の話だっつーの!
バカかよ。お前らはよ」
蜂蜜の瓶が大きすぎると
言った不死川に蜜璃が不満そうな顔をする
「えー、ほんの18ℓよー、
不死川さんだったら大丈夫かなーって」
「限度ってもんがあるだろーがよ!
一斗もいっかよ!多すぎだろーがよォ!」
「大丈夫よー、これぐらいすぐ無くなるから」
とニコニコしながら蜜璃がどうぞと
不死川に蜂蜜の大きな瓶を手渡してくる
コイツが消費するんだったら
この一斗の量の蜂蜜も
すぐに無くなるかもしれねぇけども
「流石に、多すぎっだろ?
もうちょっと小せぇの、出せ」
「ええー?沢山あった方が、いいのに?」
ぶつぶつと文句を言いながら
でかい蜂蜜の瓶を抱えて
蜜璃が倉庫へと戻って行く