第14章 束の間の いとま
「ぬはははは!俺様は、親分だからな!」
彼の言っている親分と言うのは
どういう事なのか俺には理解が出来なかったが
あげはがあの列車で話していた通りに
この少年達にも才覚があるのは確か
嘴平少年には 動物的と言うか
本能的な天性の 戦いのカンが
備わっている様だった
あの 我妻少年の方も あげはが
伸びしろがあると称賛していたが……
彼の下半身のバネの様な筋力と
目に映らない程の速さの剣技…見事だな
速さを重視する故に
太刀筋に関しては 少し物足りなくもある
12鬼月相手では
あの一閃では 頸は断てまい
竈門少年に関しては
天性の才覚と言うよりは
戦いの中で 状況を整理して
判断する能力がある
彼は鍛錬よりも 実践で伸びるタイプだな
「俺は、雷の呼吸は使えないが、我妻少年は
あげはに、指導してもらった方が
いいかもしれんな。君の使う型は、
あげはも使えるからな」
「え?でもしばらくは戻って来ないって……」
「それまでは、俺が指導しよう」
稽古で汗を流した後は
夕食とお風呂を頂いて
一室に布団も
三枚一部屋に並べて用意して貰った
こうして 三枚
横並びに並んだ布団を見ていると
善逸や伊之助と
出会ってすぐにお世話になった
あの藤の花の家での事を思い出す
「君達は、ここで休むといい」
「ありがとうございます!
れ、煉獄さんっ、あの……お話を…」
炭治郎がきっちりと正座をして
杏寿郎の方を見て居た
「話すと言っておいて、焦らしてしまったな」
三人の前に杏寿郎が腰を降ろした
「彼女の過去に関する事になるから、
あまり多くを俺の口から語る事は出来ないが……、
君達も気付いているだろうが、もう今のあげはの
右耳には、血気術はない」
炭治郎もその事は
あげはから鬼の匂いが消えたので知っていたし
指摘した 善逸自身にも音で分かっていた
「あの……、どうしてその鬼は、
あげはさんの耳に、寄生したりしてたんですか?」
炭治郎が疑問に感じていた事を
杏寿郎に尋ねた
「恐らくは、
彼女の行動を把握し、監視する為…だろうな」
「どうして、鬼が、あげはさんの行動なんて
監視する必要があんのさ?」
「その鬼が、鬼になった理由が、
彼女も鬼にしたかったから……だろうな」