第14章 束の間の いとま
「ははははは、嘴平少年は元気がいいな!
まずは、稽古着に着替えるといい。
俺も着替えるからな」
そう言って 使用人に炭治郎達の
稽古着を用意させると
着替えるように促した
そう言えば…
稽古着に着替えながら 炭治郎は考えていた
鱗滝さんの所で修行してた時は
いつもの着物だったし
蝶屋敷で修行してた時は
あのパジャマだったし
稽古着を着るのは…初めてかもしれない
「伊之助は、着替えないのか?」
いつも通りの恰好のままの伊之助に
炭治郎が声を掛けた
「ああ、俺は、これでいい。
気色悪いかんな、服着んのはな」
「着替えはすんだか?
ん、嘴平少年は着替えないのか?」
「すいません、煉獄さん。
伊之助は皮膚の感覚が敏感なので
服を着る事が出来ないんです」
「そうか、そうだったのか!
それは知らずに、すまないな。事情があるなら
仕方ないな。中庭で見てあげよう」
それぞれに木刀を持たせると
横一列に並ばせる
「構え」
と声を掛けられて
3人が上段に木刀を構える
「そのまま素振りっ!」
「はいっ!」
そのまま 素振りをかれこれ
10分くらいしているが
その様子を杏寿郎が見ていて
「ん……?
竈門少年は…太刀筋矯正を受けているのか?」
「あ、それは…俺の姉弟子が…」
「そうか、その姉弟子とやらは、
なかなか筋がいいな!」
狭霧山で修行をしていた時に
俺の無駄な動きや
悪い動きを修正してくれたのは
真菰だ
煉獄さんは 凄いな
俺が誰かに太刀筋の矯正を受けてるって
ちょっと見ただけで 分かってしまうなんて
錆兎……
真菰……
炭治郎の脳裏に ふたりの顔が浮かんだ
「はい、あのふたりが居なかったら。
俺は…最終選別を突破する事が、
できなかったと思います」
ぽんと杏寿郎の手が炭治郎の頭に置かれた
「その、出会いもまた……君の財産と言えよう」
財産と言われて
炭治郎は今までの出会いについて
記憶を思い返していた
あそこで錆兎と真菰に出会えたこと
その前に 義勇さんに出会えた事
義勇さんに出会えて 鱗滝さんに出会えた事
そして 善逸と伊之助に出会えた事
それから あげはさんに出会えた事
しのぶさんや
蝶屋敷のあの子たちや カナヲ…も
それも 全て 俺の財産で