第14章 束の間の いとま
蜜璃がぶんぶんと顔を振って
気持ちを切り替えると 木刀を構えて
「恋の呼吸 壱の型 初恋のわななき」
蜜璃の見せた 壱の型の動き
普通にして見れば……
一振りしてるようにしか見えないけど
凄く速い 連撃の技……
今のは5連撃……だな
蜜璃ちゃんの体の柔らかさとしなやかさ
それから その体からは想像も超えるだけの
恵まれた 膂力とその筋力をバネにして得た
スピードの持てる技……
残念な事だけど
私にはそこまで 恵まれた膂力はないし
体のしなる様な 柔軟性はない
でも動き自体は
アクロバティックじゃないから
これは 私でも……出来そうだな
雷の呼吸にもこれと似てる技があるし
稲魂に近い感じだな
私の日輪刀は蜜璃ちゃんの日輪刀
みたいな形状じゃないから
きっと 刀の問題で使えなかったり
本来の能力に及ばない
型はありそうだけども……
後はこれを稲魂と組み合わせて
恋雷の呼吸として放てば……
使えるのかも知れない
一つ目の型を出して
蜜璃があげはの方を見た
そして ある事に気が付いた
あら? あげはちゃんの 左の目
銀色に光って 見えてるけど……
気のせいじゃ ないわよね?
「あら?あげはちゃん、
あげはちゃんの左の目……」
「ああ、これ?これは……鏡の呼吸の型だよ。
戦闘の最中でも使えるけど、
普段でも使えるから。”鏡眼”(きょうがん)
って言って、相手の技をこの眼で見ると
その技の動きとかを、
自分に写し取る事が出来るの」
「ええ?
そんな便利な技があるのね!すごいわ!」
「でも、これで写したからって、
ずっと使えないからね?それを自分の物
にして置き換えていく事はしないと…」
鏡の眼に残して置ける 能力には
限りがあるし
この前 杏寿郎に見せてもらった
炎の呼吸の型は元々使えたのもあるから
後は 炎虎が残ってるけど……
煉獄も目には残ってるけど
私じゃ使えないしな……
そこまでの
炎の呼吸への適応は私にはないし
あの技は煉獄家の奥義だし
私が 体得していい 型じゃないし