第14章 束の間の いとま
その振動が鼓膜を震わせて
声の様に認識する訳だな
「我妻少年!君はその音を
意識的に聞かないようにする事は出来るか?」
生まれながらに
人より優れた 聴覚のある少年
彼なら 耳の使い方も知っているかも知れんな
「それは、聞きたい音と聞きたくない音を
自分で選ぶって意味?それだったら出来るけど……」
「だったら!俺には無理かも知れないけど、
伊之助にも出来るんじゃないのか?伊之助なら
微かな空気の振動も感じられるだろう?」
「何言ってやがる!俺を誰だと思ってんだよ!
伊之助様だからな、親分だからな!当然」
「そうか。凄いぞ。伊之助!
やっぱり伊之助は凄いな!」
偉そうにふんぞり返って
威張っている伊之助を
炭治郎が素直に褒める
「その鬼の血気術は。その振動で脳を
誤認識させる事ができる。件の列車の鬼は、
夢を操る能力があったが、今度の鬼は
起きている人間にそれが出来ると思った方がいい」
眠らせていない相手に
そこには無い物を認識させる能力
「直接、対峙した訳ではないし。
憶測でしかないが」
聴覚 触覚 嗅覚 視覚 痛覚
感覚と呼ばれる物を誤認識させる事が出来るらしい
「じゃあ、あれか?
味方が敵に見えたりすんのかよ?」
確かに嘴平少年の言う事も
不可能ではないのか
「俺は、匂いで分かるけどな」
「紋治郎、それぐらい俺だって分かるわ!」
「はぁ?俺だって音で分かるし!」
炭治郎がそれなら見破れると言って
伊之助と善逸もそれに続いた
この少年達の能力
三上透真と戦う上で 鍵となるかもな
「ははははははっ!
少年達は頼もしいな。頼りにしているぞ!」
杏寿郎の言葉に炭治郎の顔が明るくなる
「はい!どーんと、任せて下さい煉獄さん!」
「おいおい、炭治郎。
大丈夫かよ?そんな事言ってさ」
「ぬははははっ!当たり前すぎだろーがよ!」
不思議だな
この少年達を見ていると
なぜ あそこまで 不安に感じていたのか
俺にも不思議に思ってしまう