第3章 琥珀糖の
ガラスの瓶の中には
色とりどりの琥珀糖と金平糖が入っていた
「あら、可愛らしいですね」
あげはが感想を述べる前に
しのぶが口元を押さえながら言った
「本当だ、可愛い。
色んな色の琥珀糖が、入ってる」
瓶の角度を変えながら
中の琥珀糖を眺めていた
馴染みのある四角い琥珀糖ではなくて
宝石のようなカットが施されていて
色も一色ではなくて
グラデーションがかかっている
「こんな、琥珀糖があるんですね、
知りませんでした」
しのぶが珍しく
興味ありそうに見ていたので
一つ勧めようとしたのを
止められる
「それは、他の人にあげちゃダメですよ?
だって、煉獄さんが、
貴方に贈った物ですしね?」
それにしても 思いもよらないような
贈り物を もらってしまったなぁ
「ねぇ、しのぶちゃん」
「何ですか?」
「あの人の、好きな物とかって、
知ってたりする?」
「あ、ああ。お礼をなさるんですね。
うーん、そう言えばさつまいもが
お好きだとは、言われてましたが…」
さつまいもと聞いて
あげはが困ったような顔をする
「え?さつまいも?
今、シーズンじゃないんだけど?
まぁ、大きいお店なら売ってるから、
買えなくもないか」
しのぶがこちらを見て
ニヤニヤと笑っている
「もし…、のお話なんですけどー」
「?」
「もし、あげはさんに
そのお礼をなさりたい、
募りがあるのでしたら…」
妙に もったいぶった表現するな
そんな事改めて聞かなくったって
今まさに お礼を何にするのかを
相談してるって言うのに
「心募りがあるから、
聞いてるんだけど?」
もらってもらいっぱなし
と言うのも
なんともバツの悪いことに
なりそうだし
「丁度いい機会もありますし、
口添えしてもいいですよぉ〜?」
「しのぶちゃん、もしかしてだけど。
楽しんでない?」
「いーえー。別にー。
そんな事ないですよぉー」
と…言いつつも その口調も
表情もどことなく楽しげで
口添え…とは一体…
何のことなんだろう?