第14章 束の間の いとま
「あら?あげは姉さんは、
煉獄さんとご一緒されないんですか?」
「うん、私は、その前に……別の用事があってね」
「別の用事……ですか」
妙……ですね
今の 一刻でも一分でも
一緒に居たいだろう
この時期に
わざわざ 煉獄さんの元を離れてまでしないと
いけない用事が
あげはさんにはあると言う事
「蜜璃ちゃんの所に、
しばらく行くつもりなんだけど」
「甘露寺さんの所ですか?それは甘露寺さんに
質問攻めにされに行くんですか?それとも
あげはさんの口から直接お願いをなさりに?」
「いや、それはされるし、
また胸も揉まれるかもだけど……。
できるか、できないか正直私にも
自信がないんだけど。でもそれが、
出来ればきっと役に立つと思って」
またと言う事は
前にも胸を揉まれたと言う事ですかね?
まぁそれはどうでもいい話ですが
出来るか出来ないかわからないけど
出来たら役に立つ……か
「お急ぎなのですね?」
「うん。あまり時間がないから……」
「あげは姉さん」
しのぶが改まって
姉さんと あげはの事を呼んで
「しのぶちゃん?」
「しのぶでいいですよ。
戻られたら……お話したい事があります」
「うん、分かった。行ってくるね。しのぶ」
そう言って しのぶに手を振った
あげはの顔には
全く迷いの色は見えなくて
やっぱり 煉獄さんには
お礼をしないといけないなと
しみじみとしのぶは感じていた
でも……
引き留めてでも
今 話した方が良かったかもしれない
しのぶはそう考えていた
でも 話したことであげはさんを
迷わせてしまうかも 知れない
私も あげは姉さんも
それで迷ってたのだから
ああ 忘れてました
もう一人 居ましたね
「話さないと、いけない人が……」
ふうっとため息と共にしのぶが漏らした