第14章 束の間の いとま
それにあの少年達の五感の能力
何かしらの役に立つかも知れんしな
俺達では感じる事の出来ないものを
彼らは感じてとらえる事が出来るしな
「では。俺は先に
炎屋敷で待っているぞ!あげは」
「はい!5日後に。炎屋敷で」
じっと杏寿郎があげはの顔を見ていて
「あの、どうか……した?」
「いや、君は5日も俺と離れるのに、口付けの
ひとつでもしておきたいと思わないのか?」
「え、でも……ここではちょっと……」
さすがに廊下の真ん中で
婚約をしているとは言えど
濃厚な口付けを交わすのはどうにも
気が引けてしまうのだが
「なら、君の部屋ならどうだ?」
「それなら、いいけど……」
当然 5日の別れを惜しむ口付けは
濃密な物で 離して終わらせようとしては
重ねてをもう 何度も繰り返してる
今生の別れでもないのに……
ここまで
離れがたくなってしまっているとはな
どうしようも ないな
「たった、5日離れると思うだけでこれとは。
全く持って、恥ずかしい限りだな
……君のせいだぞ?」
「は、離れがたいと思ってるのは……、
私も、ですからっ」
と何とも 可愛らしい いじらしい事を
恥ずかしそうに言ってくれるので
余計に 愛おしく感じてしまって
離れられないで居た
「あのー、煉獄さーん。
こちらにいらっしゃいますかー?」
ドアの向こうからしのぶの声が聞こえて
慌てて唇を離した
ガチャとドアが開いて
しのぶが口元を押さえながら
「あら?お取込み中でしたか?すいません
、でも……鍵をお忘れでしたよ?ごゆっくり」
とバタンとドアを締められてしまって
あげはが慌てて部屋から出てくる
「ち、違うの。しのぶちゃん、
助かった、ありがとう」
しのぶが何の礼を言われたのか分からずに
小さく首を傾げた
「私は、お邪魔だったのでは?」
「いや、胡蝶。助かった。誰かに止めてもらわねば
いつまでも、あのままだったからな!ではな、胡蝶。
今回の件では、君には感謝する事ばかりだ。礼を言うぞ!」
「いいですよ。私は。沢山お礼頂きましたし」
そう言ってふふふふと笑った
しのぶは毎日お礼にもらった
しょうがの佃煮を堪能していたのだ
しのぶとふたりで杏寿郎の背中を見送る